デジタルアンプをバイアンプ構成で試聴2024-08-29

コンパクトなアンプ回路は有利です。
何が有利かって、信号転送路が短いだけにノイズや電磁誘導で誘引される歪みが入りにくいのです。旧来のアナログアンプは素子間を配線で繋ぎますのでどうしてもそれらのリスクが高くなります。ですからオペアンプのように電子回路網にまとめてあれば有利ではあるのですが、それを突き詰めると使用するオペアンプによってアンプの音が決められてしまうというデメリットも生じます。

ノイズの影響を受けにくいのがデジタルアンプです。デジタルアンプは信号が最後に音に変換される部分に至るまでデジタルですからほとんどノイズの入る余地がありません。ただし、供給される電源にノイズや電流欠損があるとデジタルアンプといえども音が濁ります。だから、デジタルアンプに電流欠損や整流ノイズの無い第二世代電源で電源を供給することは、音の再生の理想構成と言えると思います。
前回、デジタルアンプ1号機を作ってみてこの思いを強くしました。

考えてみれば、無線だってデジタル無線になって音がすっかり変わりましたよね。昔のタクシー無線はなれた人でないと聞き分けられないほど音が歪んでいましたが、今のタクシー無線はデジタル化されているので実に明瞭に聞こえます。これと同じ事で、ソースを受けたところから転送系、再生系のすべてをデジタル化することは著しくノイズと歪みの低減になります。つまり、アナログとは別次元の音になるということです。

この流れがオーディオの世界にも浸透してきたのです。

その昔、某社が「デジタルだから音が良い」というCMで、CDやデジタルオーディオ機器を大々的に宣伝してましたが、そこで再生された音はかつての真空管アンプとレコードの組み合わせにまったくかないませんでした。CDの音はレコードを掛けた時の音の臨場感や余韻はまったく出ていませんでした。
その後、クロックの改善で音が良くなることを学習し、配線長を短くするか、出来ない場合はラダーにすることで音が改善されることを学習し、電源を改善して電流欠損やノイズを無くす事でさらに音の余韻や臨場感が改善されることを学習してきました。
そのうち、いかに高精度なクロックを使っても聴感上は変わらないという飽和点のようなものがあることも学習しました。中途半端な高精度クロックを入れるより、クロックの電源を分離して独立給電とする方が音的には遥かに効果がありました。そういうこともあってか、最近のデジタルオーディオ機器ではDACチップの近傍にDACチップ専用のクロックを設置しているものが多くなり、構成上はかなり改善されてきています。

こうやってオーディオの歴史を振り返ってみると、デジタル音源が出てからいろんな改善を経て現在に至っていることがわかります。デジタルの使いこなしをオーディオ業界が学習し成熟してきたということと思います。

コンパクトにデジタルで音の良いアンプをまとめる。そこには良質のトランスと第二世代電源を内蔵して電源供給する。これはある意味、デジタルが浸透してきた現在のオーディオ・シーンにおけるアンプシステムの一つの到達点と言えるものと思います。

前置きが長くなりました。
実際にバイアンプ構成で聞いてみました。

実にいい音です。臨場感も余韻も見事に再現されています。音の立ち上がりも素晴らしく、低音のキレも抜群ですし高音域の伸びも素晴らしい。どこまでも妥協の無い解像度です、長く浸っていたい音です。とても良い音であることは間違いがないのですが、少し聞いたらCPMの容量をあげてみたらどうかとか、あるいは入力段に現在使われているオペアンプ(TL072)を、最近話題のMUSEに替えてみたらどうかとか。色々やってみたくなる音でもあり,
可能性を感じる音です。
この明るくて解像度の高い臨場感は、Duo x 4台のバイアンプシステムより定位はしっかりしていると感じます。モノラル4台でのバイアンプ構成は全ユニットの特性を揃えないと定位が決まりませんが、その難しさが無くてピッタリ決まる気持ちよさがあります。
もう少し煮詰めればウチのメインシステムにもなり得る可能性を秘めています。


このアンプに興味のある方、1号機を試聴用にお貸し出しします。
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