LAN経由でES9038Proを鳴らす ― 2026-06-10
LAN経由でES9038Proを鳴らす
このところ取り組んでいる実験
ネットワーク経由でデジタルデータを送り、DAC直前でI2Sに直して直接DACに送り込んで鳴らす。そうすることでDACまでのラインに一切のアナログラインが入らないため、純粋な音楽信号値だけでDACを駆動できるのでかなりの高音質で鳴らせるのではないか・・と
これを確認するため海外製のLANインターフェースを入手して動作確認。組みあげてまず驚いたのは、LANインターフェースが出すI2S信号がかなり力強いこと。直近(数センチ)にあるDACにコネクタ直接で転送してやるにはあまりにパワーが強い。最初は全く音にならなかった。少し調整したら繋がって音は出るのだが、まずはブツブツとしたノイズだらけであった。
この写真は調整途中の画面だが上の緑がLRCK、下の黄色がBCKである。BCKがかなり強くLRCKにまで影響していて、LRCKは立ち上がり時のオーバシュートが上に3V下に2V近く落ちている。この状態だと左右のチャネルが切り替わるたび急に戻されたりしてブツブツとノイスが入る。海外製の基板が極小でハーフピッチのソケット出しになっているせいもあるのだろうが、それぞれの信号が干渉しあってごっちゃになってる状態にもみえた。
これら信号同士の干渉を防ぎながら波形の調整をカット・アンド・トライで何度も行ってやっと出てきた最終的な波形が次の2枚、どちらもLRCK(黄色)をトリガとしてSDATA(緑)やBCK(緑)を見たもの。やっとここまで波形を整えた、という感じ。疲れた。
緑がSDATA、黄色がLRCK
緑がBCK、黄色がLRCK
この状態にしてネットワークからデータを送ってみた。
今回の受信側DACはES9038Proという8chの入出力を持つマルチDACである。対して送信側もminiDSP FlexEight という8chのデジタル出力を持つ装置である。それらをLANで繋いで音を出すわけだけど、送信と受信のマトリクスを書いて任意のチャネルを任意の場所に割り付けて出力できる。まぁネットワークとDACとの橋渡しをするインターフェース基板の入出力がそれぞれ4chしかないからそれなりに制限はされるとしても、この自由度は嬉しい。そしてそのネットワーク上は独自のプロトコルで遅延なく転送される。こんなことができるだけでいろんな応用が考えられそう。
実はネットワーク系の転送でもかなり苦労したのだが、そこは長くなるので書かない。専用のインターフェースだからか個性つょ!
これは音出し試験中の写真。
期待大である。
人の耳の話 ― 2026-05-23
ある方がFacebook(オーディオマニア)での「なぜシングルコーンの方が臨場感が出やすいか」という問いかけに次のように感想を述べている。
『人間の耳は、「帯域バランス」以上に「帯域ごとの時間軸のズレ」に敏感なのだと思います。マルチウェイでユニット間の時間軸のズレが大きいと、心地よさを感じません。また、空間の広がりも歪みになり、スピーカーセンターでないと音場がわからなくなるような現象が発生します。逆に、マルチウェイでも、ユニット間の時間軸のズレが少ないと、部屋のどこでも音場の広がりを同じように感じることができます。もちろん、ルームアコースティックは不要です。』(以上、FBより転載)
この意見にすごく同意する。
特に人の耳って、時間軸のズレや歪みなどを自分達が考えている以上に感じ取っているとも思う。
私が、出川式電源でないオーディオ機器や出川式であっても調整の甘い機器の音を長時間聞いていて「疲れる」と感じるのは、やはり音に含まれる歪みを耳が拾っていて、それを無意識に補正しようとして脳が頑張るために頭に負担が掛かっているからだ、と思えてならない。
オーディオをやる上で、物理的な理屈よりも人の感覚って何より大切なものだと思う。それは測定器などでは測定できないものだとも思う。
ここで私が認識を新たにしていることは、自分の脳がどのくらい音を補正して聞いているのかについては自分でも気がつかない(なかなか気づき難い)部分であるということ。
当店のブログを見てくれている方は私がX-DP10というDACの音をフルチューンSUー1と同じレベルにまで引き上げるのに何度もチューニングを追加していることで、私が如何に苦労したかをご理解されているかと思う。
振り返ってみると・・
3月24日に手に入れてから、
3月25日にはまずワード・クロックを入れて改善し、
4月12日には出川式電源を搭載してフルチューン完了としていたものが、長時間聴くうちに不満(疲労感)が出て
4月15日にはDACチップへの細密チューンを入れ、そこで一旦納得していたのに、やはりダメで
5月3日にはIV変換回路も部品を交換して改善している。その時「癒される音とはこういう音をいう」とまで書いていたが、、、
5月13日にお出いただいたK様にはこの時の音を聞いていただいたのだが、その時微妙にSUー1の方が耳障りがないと2人で納得したものである。。
その後、やはりSUー1に比べて微妙に劣っていたことと、本格的に長時間聴き込んでみたときの「疲労感」があったことで、ブログには書いていないが実はその後最後の部品交換を実施して、
現在(5月20日完了)に至っている。ここまでやってようやく毎日継続して聞いても疲れない音にすることができた。本当の意味でフルチューンSUー1と互角の音になったと言える。
ここまでするのにSUー1をフルチューンする何倍も時間もコストも掛かっている。
X-DP10は手の込んだ作りのDACであっただけにいろんなところに音を濁す要因が潜んでいた。しかもそれは、例えばDACの性能を最大限に引き出すようにすると、その後のIVやバッファ回路がついてこれず、それが高音部の頭打ちに伴う波形歪みを発生させて聞き疲れの原因となっていたことが余計に目立ってしまった。これは基本的な回路設計にまで遡って見直さないと改善されない根本的な問題であると共に、様々な機能を盛り込まなければならないメーカー製品ではコスト面とマンパワー面の両方から無理な内容であると思われる。
なぜなら、これまでメーカー製品では超高級品といえども私の納得する音のするDACに出会ったことがない。アンプやCDPもそうである。。。
癒される音とは、1日中音を流して仕事していても、ふと気がついて耳を済ましたときにホッとする。そんな音である。
こういう音は少し音量をあげて聞いていても人との会話の邪魔をしない。
歪みのある音だとまず聞き流しの仕事ができない。ぐったりと頭が疲れて音を止めたくなるのである。そういう音は音量を少しあげただけでも人との会話が聞き取れなくなり成立しなくなる音でもある。
今日はX-DP10+ss600Dspを朝からかけっぱなしで仕事をした。
今夜はSU-1 + ss120spでNetflixを観よう。
本日のお客様 ― 2026-05-13
本日のお客様
大阪のK様。ご自身はネットワーク機器の電源を当店が作成した出川式電源で供給して音の改善をなされた上でRoonにて音楽を楽しんでおられる。当店のブログに書かれた音のイメージがどうにも信じられないと、わざわざ大阪から聞きにいらっしゃった。昨日は水戸に一泊なされて今日は朝からおいでくださった。
当店はRoonに加入しておらず、サブスクはもっぱらAppleMusicであるので、その中でK様がRoonでよく聞いてらっしゃるゲイリー・バートンのアルバムで試聴を開始した。
私はゲイリー・バートンは積極的に聞いたことはないのだが、ヴィブラフォンがこんなに表情豊かに演奏できるとはちょっとした驚きだった。今後ライブラリィに登録しようと思う。
お客様もゲイリーが叩く音と金管が響く音が澄んでよくわかると言っておられた。耳障りが全くなく、自然に聞こえる。最高にチューンされたRoonサーバーの音を聞いたことがあるがそれとほぼ同じだ、AppleMusic でこんな音が出るなんて思わなかったと驚いて何度も頷いていた。
私が「Roonをやれ!」とある方から強く勧められているんだけど・・というと「この音を聞いているのであれば、プラクトさんがRoon始めるメリットは感じないと思う」とのこと。
今日のメインアンプはss600Dsp(1KVA版)に、DACは次の3台
1)フルチューンしたX -DP10、
2)ACアダプタを出川式電源に交換したminiDSP Flex Eight,
3)フルチューンしたSU-1
それらを切り替えながら試聴を楽しんだ。結果は、やはりSU-1に軍配が上がった。
SU-1は非常にコンパクトな基板にきっちりデジタルとアナログを分けて部品が押し込んであり、さらにクロックがUSB用、制御回路用、ADコンバータ用と3個それぞれの対象素子の直近に設置されていて無駄が全くない。その上DACチップはAKM4493SEQというベルベット・サウンドで海外では最高とされているチップを搭載している。稠密でダイナマイトなボディである。少なくともDACにとってコンパクトさは全てにおいて有利に働く。なにしろデジタル回路は基板が大きくなればなるほど信号も電源も劣化して音が濁るからね。
これをフルチューンするとン百万円のDACにも出せない音が出る。もっとも「高級オーディオ」は音じゃなくて名前と意匠だけで売ってるところあるから豪華さでは叶わないけどね。うちは豪華さは求めてない。虚栄より実で勝負。音を聞いて癒されなければオーディオを楽しむメリットがない。コストをかけずにそういう音を手に入れられば最高の楽しみになる。
K様は「ブログに書かれていることは全く真実であった」と納得されて、何度も頷いておられた。私も「Roonをやるメリットがない」と教えていただいたのでとりあえずRoonをやることは今のところはやめておく。
双方納得しあって双方でメリットがあったなかなか楽しい試聴会でした。
K様、遠路はるばるご苦労様でした。
X-DP10の追加チューン ― 2026-05-03
X-DP10の追加チューン
4月15日にX-DP10の細密チューンを終わらせて、「いつまでも聴いていたい音」と書いた。しかし、4月17日にSU-1のチューニング加算を実施して聴き比べると、やはり、X-DP10の音は1ランク落ちるのである。聴いた瞬間はわからない。だけど例えば1日とか長時間聴き続けている後で疲れを感じるのである。これはやはりどこかまだやれることがあるはずである。
長時間聴いて疲れるということは脳が余分な補正をしている時間が長いことで疲れるのである。しかし、いろいろ調べたが、どこにも見当たらない。これまでやってきたチューニングは全て電源のチューニングであり、いかに綺麗な直流でそれぞれの回路をドライブするか、という点に着目して実施してきた。現在ではX-DP10に入っているES9028Q2MというDACチップも極限まで電源チューニングはされていると考えて良い。それでも出てくる音が疲れるということはどこかに音を不自然にしているところがあるということだ。仮にSU-1の4493よりもES9028の方がもともと音が硬いとか高音寄りとかいうことはあったとしてもそれらが疲れを呼ぶとは思えない。
疲れの原因はどこかにある歪みである。耳にはそこがよくわからない。脳が勝手に補正してしまうものなのだろう。そうやって脳が補正しつつ長時間聞くから疲れるのである。これではまだまだである。
DACチップは最良の音を再生していると想定した時、その後ろで音を歪ませる要素があるのかないのか回路を詳細にトレースした。その結果怪しいとして目星をつけたのが、DACチップのIVとして使われているNJM5532DD。このチップは太めの安定感のある音が定評があるものなのだが、DACチップが出す高い周波数までの追従レスポンスはどうなのだ、と少し疑った訳である。
AIにここを聞いてみたら、やはり思った通り『このDACのIVにはよりスルーレートの高いチップに交換した方がいい』と言ってきた。まぁもっとも、私が「音の疲れの原因はここが怪しんでないかい」とAIに示唆したらそれに同意してきただけだが、交換すべきチップをちゃんと提案してくれるところはいいところだ。しかもその理由もしっかりしている。提案されたOPA1612のスルーレートは5532DDの3倍であり、周波数バンド幅などは140KHz vs 40MHz となんと300倍近い差がある。しかも1612は超低歪みである。
これが元々ついていたNKM5532の概略スペック
これが新しくいれたOPA1612の概略スペック
AIって、提案してくる時は自信たっぷりな文言で提案してくるが割と当たらないことも多い。ただ今回は提案内容に納得できたのでOPA1612を注文して替えてみた。
その結果、なぜかこれが一聴してわかるんだなこれが。以前は聴き疲れしないと考えていた音がやはり少し耳障りだったのだと理解した。
今は、その音の滑らかさ、しっかりした高音部の繊細な太さ、音のきめ細かさというのかな、何かが、これがリアリティというのかな何かが違う。高音部の耳障りが一切なくなった。そして、静けさを含めて改善された。
あれから二日聴いているが疲れない。癒される音とはこういう音をいう。脳が勝手に補正しない音である。従来の整流回路ではこういう音は絶対に無理である。
出川式電源に感謝。
PrePowerにお客様のご感想をいただきました。 ― 2026-04-26
PrePowerへのご感想をいただきました
宮崎のGrimAudioMU2のユーザであられる田島様からPrePowerを使った時のご感想をいただきました。素晴らしいご感想ですのでご本人のご了解のもと、そのまま紹介させていただきます。
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MU2用電源「PrePower」使用レポート
導入から一ヶ月が経ちましたので、使用感をお伝えします。
比較のため、本日いったんPrePowerを取り外してみました。外した状態では、音がスピーカーの前へ元気よく飛び出してくる印象で、音のかたまりに包まれるような感覚があります。細かい音も聴こえるのですが、周囲の音と一緒くたになって飛んでくる感じで、音量を上げると少し聴き疲れを覚えました。
そこで再度PrePowerを装着してみると、変化は明らかでした。全体的に前に出ていた音が少し引っ込み、スピーカー間の水平面が最前面になるような感覚に変わります。そして奥行きが広く深くなり、前に出てくる音と奥で鳴る音がきちんと分かれて、それぞれの距離感がはっきりと伝わってきました。
音を構成する楽器一つひとつの音がよく聴こえるのですが、いわゆる分析的な冷たさはなく、むしろ優しい印象です。「音がほぐれる」という表現がいちばん近いかもしれません。たくさんの音が出ているにもかかわらず聴き疲れがなく、長い時間音楽を聴いていました。
結論として、PrePowerを繋いだ状態のほうが、ずっと気持ちよく音楽を楽しめます。素晴らしい製品をありがとうございました。
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当店はホームページにも書いておりますが『癒しの音』を出せる機器や部品を提供することを掲げております。
このような具体的なご感想は大変に嬉しいです。
特に、とかく耳障りになりがちがスイッチング電源の機器(今回はGrimm Audio のネットワークプレーヤ MU2)でも、このPrePowerから供給することで、滑らかで聞き疲れのない音に生まれ変わることがわかりました。素晴らしい結果だと思います。
田島様ありがとうございました。






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