大きいスピーカーほど位相ノイズが大きい2025-07-15

大きいスピーカーほど位相ノイズが大きい


検証してみると色々面白いことがわかってきた。

出川先生が以前言っていたことではあるのだが、ウーハーの音は本来の音を出しているのではなく、位相ノイズによって歪んだ音を聞いている、ということが見えて来た。その方が低音としてボリューム感があるように聞こえたり、人によっては迫力を感じたりして好ましいと感じているという事もありがち。


まず一つの例。

私の車には購入時オプションでBOSEのサウンドシステムを導入してあった。納車後最初に聞いた時は「ブーミーでこもった音に呆れた」ものであったが、いずれ電源を改良すれば改善されるとの意識があったため特にクレームをするでもなく受け取り、その後ヘッド・ユニットやマルチ・アンプへの電源改善とノイズ対策を導入して滑らかな音にした。しかしその時も低音のボリューム感が高く「低音出過ぎ、これがBOSEのチューンか」と半ば諦めてウーハーにだけ減衰抵抗(約2Ω)を入れてレベル調整して使っていた。この状態で長いこと乗ってきたが、先日SPMDを全スピーカーに取り付けてみたところ、ウーハーのレベルが小さいことに気がついた。そう思ってよく聴くと、低音の解像度が抜群に良くなり、バスドラムのキレが冴えてベースも実にスッキリなっているのにウーハーのレベル全体が低いのだ。もしかしたら、と思ってウーハーに入れていた減衰抵抗を外してみると、全てのスピーカーのバランスが取れて心地よい臨場感に包まれる音が再生されるようになったのだった。これで初めてカーオーディオの音がカーオーディオらしからぬ臨場感で再生されるようになった。

つまりこれまでは低音が出過ぎと思っていたのは単に位相ノイズでブーミーになった音を聞いていたからということがわかった。

別の意味で言うと、これは低音の無駄な(不正な)余韻を聞いている状態ということもできる。例えばバスドラムの音なんかは本来はそんなに長くは響かない。


位相歪みがなくなって音量が下がったように感じた例は先日の波形測定時にも感じた。

JENSENのA12という30cmの励磁スピーカー。励磁スピーカーは励磁コイルとの磁気相互作用で音の立ち上がりが速くて音がいいと言われているが、私の耳にはやかましくて歪みっぽい音にしか聞こえなかった。ここにSPMDを入れたり外したりして測定を実施したのだが、SPMDを入れた時にはスーッと音量が下がったように実にスッキリとなり、やかましさが無くなるのだ。これは劇的な効果だった。


全てのスピーカは位相ノイズの影響を受けている訳だが、やはり大きいスピーカーの方が、それを駆動するコイルも大きいためか位相ノイズがかなり大きいということがわった。それだけSPMDの効果が歴然としているということも。


振り返ってみると、ツイータやスコーカー、あるいはウーハーにまでホーンを実装して余韻を出すように工夫したスピーカーシステムというのがあるが、それらは結局録音された音そのものを増幅しているわけではなく、位相ノイズにまみれた汚れた音を響かせているだけ、と言えるだろう。だいいち、マルチスピーカーをパッシブ構成した時点でネットワークにコイルが入っているので、その時点で倍音はカットされてしまって出てこないし、アンプの電源がノーマルであれば余韻も出ない。


余韻も倍音も含む優秀なソースの状態を再現するためには第二世代電源でアンプを駆動し、そこにSPMDを入れて忠実に再生させるべきだと私は思う。


余韻や倍音はスピーカーが加算するものではなく、優秀なソースをアンプ・システムが忠実に再生するものでなければいけない。そのためには電源の改善は必須。電源の改善もせず、SPMDも入れない状態で、ホーンで響かせただけの音で「余韻が出ている」と勘違いして満足している人たちのなんと多いことか。。。歪みを増幅して聞いているだけかも知れないのに。。。土管の中のような音がしないのかな??


そういえば、コンサートで聞くPAの音って歪みだらけだ。

先日行った玉置浩二のコンサートも音が良かったのは彼の「生ギターで生歌」を聞いた数曲だけで、バンドと一緒にPAを使って歌った音は歪みだらけの酷いものだった。PAの電源がダメ、位相ノイズがダメのダブルパンチ。


もう一つ言うと、決して音楽ソースも完璧じゃない。録音システムの電源がダメダメだったりするから。

出川先生のところで第二世代電源で駆動されたマイク・アンプとレコーダーで録音されたデータから作られたCDを聴かせてもらったことがあるが、あの臨場感は素晴らしいものだった。その意味ではオーディオ業界の技術革新もまだまだこれからなのだろう。。。


海外ではスピーカの位相ノイズを最初から起こさないようにドライブできる(?)AI制御のアンプを内蔵したアクティブスピーカなんかが計画されているようだ。ほんとにそんなことが可能なのかはしばらく待ってみないとわからないが、日本のメーカーはその辺のところはまだまだの様だねぇ。。。。Sign!!