お客様からのご要望で電源を作りました2025-11-07

お客様からLAN機器の電源にお使いになりたいと、DC12Vで2口、5Aまでの容量の第二世代電源装置をご要望いただきました。


内容としては次のようなものです

1)電源装置自体がノイズを出さないように鉄ケース(1.5t)を採用

2)入・出力コネクタは全て前面

3)操作は背面右端にあるスイッチでサーキットプロテクタ 

4)出力端子は 5A/125Vを保証している七星のNCSシリーズ

5)電源トランスは80VAのカニトランス

6)整流回路はss120と同じ定評のある第二世代電源回路

7)安定化電源はNJM723で制御し最大 8Aまで流せる回路

8)2本のDCケーブル(各1m)を付属

9)出力端子はお客様から5521の指定なので2Aまでが上限

10)DC電圧は最高16V程度まで設定できます

11)電源ケーブルは付属しません


動作確認は当店のSTAX製ヘッドホンアンプに繋いで行ったが、

第二世代電源で余裕のある回路なので立ち上がりの良い抜群の音が出た。ネットワーク機器にはちょっと贅沢かも。

これに繋げば中華アンプなどは心地良く鳴ること間違いない。


ご希望があれば再度造ります。

一式10万円+税です。


この鉄ケースがメーカーでは生産中止になってますので代理店にあるだけしかつくれませんが、まだ数個は大丈夫と思います。

12V5AのDC電源装置


本日納品です。



Brilon 1.0SLEの内部配線交換と・・2025-10-25

当店の開店前から使っている私のメインスピーカーはドイツ、AudioPhisic製のブリロン1.0SLEである。2Wayであるが、ユニットは上下2個ともはノルウェーSeas社のユニットを使っている。


ブリロン1.0SLE


店を始めた頃、SteinMusicの社長から「Step(ブリロンの欧州名)ならカップリングコンデンサをこれと交換してみろ」とレーダーシュタイン社のフィルムコンデンサが送られてきて、それに変えたら音がぐんとよくなったことがきっかけで、その後コーンにマエストロを塗布したり、内部配線をPTFE銀メッキ線に替えたり、さらにそれをオーグラインSPに替えたりたりして、現在まで使ってきている。これはこれで良い音でなっていたのだが、最近SPMDを開発したことで音のリアリティがさらに改善されるであろうことが想定された。


そこで、内部配線のSPC-AV化を実施するとともに、SPMD-6Fを内蔵することを計画した。


実はSPMDにはスピーカー・ケーブルのプラス・マイナスをまとめて通すSPMD-10(F)シリーズという製品と、アンプ内蔵用のSPMD-6Fという製品があり、当店のアンプをご購入いただいたお客様にはSPMD-6Fを推奨提供しているし、また、SPMD-10F付きのスピーカーケーブルをご購入いただいたりもしている。内蔵用とスピーカーケーブルにつけるタイプでは、プラスマイナスをまとめて1個に通すSPMD-10(F)よりもプラス・マイナスのラインに個別に密着させてつけるSPMD-6Fの方が少し効果が高い(いずれにしても効果は高いのだが)ことは以前から認識していた。


SPMDは接続される対象スピーカの中のネットワーク構成によってその効果の出具合が異なることは以前にも書いているが、それならばネットワーク越しにスピーカーユニットの直近に取り付けたらどうかということを、自作の2Wayスピーカーで試してみた。


つまり、2025/09/23〜10/02のブログで紹介した2Wayスピーカ(上がガラスコーン、下がNS-3MX)に対して、これらはすでに内部配線はSPC-AVにしてあるが、改めて中をあけてそれぞれのSPユニットの直近(ネットワークのSP側)にSPMD-6Fを2個ずつつけたところ、その効果は抜群であった。


そこで、この構成を当店のメインスピーカーであるブリロンにも実施しようと思ったわけである。

前置きが長くなったが・・・・


ブリロンがまた生まれ変わった。このリアル感はこれまでなかったものだ。

やはりスピーカー個別に、そのスピーカの逆起電力と位相ノイズをキャンセルさせるように入れることは抜群の効果がある。音楽ステージの広がりと識別が以前よりはるかに良くなった。音も純粋で実に聴きやすい。


最後に、取り外したオーグラインの処分について。。

オーグラインSP内部配線

これは今回取り外したこれまでの内部配線オーグラインSP(青)とPW(黒)。SPとPWは被覆の色が違うだけで構造も音も一緒で、コンパチで使えるためこうしている。なにしろ高価な材料だったのでギリギリの長さで作った覚えがある。


SPもPWもそれぞれ合計で約75cmあるが、それぞれ素線にバラして使うこともできる。配線の内部は0.2mm径の素線を19本束ねて捩って芯線を構成している。被覆を剥いて素線を使うもよし、小さめなスピーカやアンプの内部配線に使ってもよし。。


武藤製作所さんが廃業なされたことで、これらのオーグラインSPはすでにオワコンになっているが、オーグラインには一定の根強いファンがおられることも理解している。そこで、もしよろしければこの配線を配線材として現状のまま、を条件にお好きな方1名に譲る。「オーグライン」という名前は実は私が付けた。そうでなくてもこの材料を捨てるには惜しい。


必要な方はメールでご連絡ください。送料こちら負担で発送する。


X-DP10チューン後半 アナログ回路のチューン2025-10-18

さて、アナログ回路のチューニングだが、これがなかなか難しい。


 普通なら細密チューンの部品は基板の裏にとりつけるのだが、薄くできた本体の都合で基板下にはほとんど隙間がなく取り付けられない。ミニCPMの厚さは6mmに対して、5mm以下しかない。そうなると基板の上、例えばSU-1の時とおなじようにオペアンプの足に上から取り付けるようになるのだが、なんせオペアンプの周辺には稠密にコンデンサやリレーが実装されていて半田ごてを通すだけの隙間がなく、無理にやってしまうと周辺のコンデンサやリレーを焼いてしまいそうで怖い。これの基板や部品を壊さずに細密チューンを実装するにはどうするか、かなり悩んだ。


 第二世代電源はデジタル電源と同じ様にアクリル版に載せて基板上に実装すればなんとかなるが、オペアンプ直近に入れなければならない細密チューン部品たちの実装をどうするか、その手順を含めて決めるまでにかなり時間がかかってしまった。


 結論として、ウチにある半田吸い取り機をフルに使うことにして、対象のオペアンプを全部外して作業することとした。

 とにかく一旦丁寧に外し、ソケットに乗せて作業する。そこで万が一オペアンプを壊したとしてもオペアンプ単品なら殆どウチに在庫があるので安心。で、ソケット上で作業したらそのままテスト回路にのせて動作確認を実施し、OKならソケットごと基板に取り付ける。

 そうすることで、万が一細密チューンが適さないケースがあってもすぐに外せるし、あるいは、いずれオペアンプの交換も簡単に楽しめるようになる。まぁ細密チューンを実施するとそのままで十分に良くなるのだが。


アナログ回路完了

こうしてアナログ回路のチューンを完了した状態が上の写真。


細密チューン部品をのせたオペアンプが一個、第二世代をのせたアクリル板と干渉したりたけどなんとか収まり切った。

 

 音は、余韻が出て、滑らかな音で良い音。この状態でしばらく聞いていたが、細密チューンを実施した割にはなぜか音の鮮度が足りない。どうしたことかと再調査した。そうしたら、DACのアナログ回路電源がアナログ基板にある簡単な整流回路からオペアンプ電源を通じて給電されていることがわかった。普通、全波整流はブリッジを使うものだが、ダイオード2個だけで整流してあり、半電圧全波整流とでも言う回路で整流されていた。実に簡単な回路なので表示系の電源か何かと思っていたのでチューニングからは外していたが、実はここがオペアンプ制御の電源になっていて、そこから隣のデジタル回路にあるDAC ES9028Q2Mのアナログ回路に行っていた。

 

 安いDACだとデジタル回路に置いたDACの電源はデジタル回路から、アナログ回路に置いたDACの電源はアナログ回路から取られていることが多いが、このDACは実に真面目にデジタル回路はデジタル電源から、アナログ回路はアナログ電源から、それもオペアンプを使用した安定化電源を通して給電されていた。実に贅沢な回路ではある。だが、整流回路がダメダメだから音の鮮度がイマイチ出ない。実に惜しい。


 最後にここ(DACチップのアナログ電源)にFixCurrent+CPMを入れて安定化電源の電流欠損をなくした。最初は整流素子をB12A06H2あたりに交換しようとも検討したが、ダイオード2個の特殊な整流回路であるため使えず、結局は12Vレギュレータの後ろにFixCurrent+CPMを入れて対策したもの。2個のダイオードはショットキーバリヤに交換も実施した。


 ここまでの改善でやっとお客様に自信を持って納入できるDACになった。確実にSU-1を超えている。

 

 DACチップとオペアンプ、全てのアクティブ素子に細密チューンを入れる。それでDAC本来の音が出るようになる。ここまでチューンした時の音の差はDACチップの違いやオペアンプの差などで本来のDACシステムの音の差になる、つまりそれらを初めて評価できる状態になる。正しくない電源で運転されている一般の機器などはそこまでのレベルには全然到達しないので比較の対象にもならない。オペアンプの交換などは電源を正してからこそ、味わうべき趣味である。


 今回のDACのチューニングをご注文なさったお客様もお手持ちの市販アンプ(アキュ製)を手放されて当店のss120+SPMDをお求めになられた。正しい電源でドライブされたシステムでこそ、SPMDの効果が最大限に発揮され、一般電源では絶対に経験したことのないような臨場感を味わえるシステムになる。


お客様には本日発送を完了した。

ご注文いただきありがとうございました。



10月21日追記更新


今回のお客様(しかくん様)がブログにコメントをつけてくださいましたが、その後、ご感想の第一報をメールで送ってくださいました。以下に転記します。

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X-DP10もとても良い音で鳴っております。低音方向も伸びていますし、中高音のキラキラ感もすごいです。

キラキラ感と言っても、とってつけたようなキラキラ感ではなく自然にある音響に少しキラキラ感が乗っている状態なのですが、作り物感があまりないので、とても気持ちがいいです。
通常中高音が目立つと音やせしたりすることが多いのですが、そういうことが全くないですね。
まるで別物です。本当に素晴らしい!!

 

電源ケーブルで解像度を上げるような製品だと却ってだめになるかもしれないですね。DACに直接つなげたわけではないのですが、ラックスマンの電源ケーブルをLANのネットワークのリニア電源につないだところ、音の拡がりが縮小して少しつまらない方向に変化(十分にいい音ではあるのですが)したので、普通に安いケーブルの方がいいかも、と思いました。

 

ケーブルの変更で音が大きく変わっているので、ウチのシステムの精度があがったということだよな、と一人悦に入っております。

 

何かを変えるとその変化が如実に表れてくる感じです。

 

いずれにせよ、現システムは過去の当社比最高レベルにあることは相違ありません。

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以上ですが、まずは、喜んでいただけて何よりです。


当店のチューンは基本的に音源の電流欠損をなくすことと、アクティブ素子個別にチューニング部品を実装してとことんまでそのパーツの音を引き出すことでその製品そのものの本来の音を呼び起こすことです。そのため少し明るい音調にはなりましたがそれは使われているDACチップであるES9028Q2Mの音です。むしろ現代の音としては好ましい方向だと思います。また、これらの改善を行うと音の密度と解像度が極端に高くなります。そのためお客様のようにその他の機器なり電源なりを少しいじっただけでのその違いが聞き分けられるようにもなります。配線類は変えれば必ず何かが変わりますのでその差を楽しむのも良いですが、深みにハマると大変ですが。。。


しかさん様の構成は次の通りですので、現代最高の音であることは

間違いございませんが、DACの上流側になるネットワーク機器の電源の良し悪しは音を如実に左右します。今回電源ケーブルを変えたら音が変わったとのことで、その一部をご確認いただけたとことと思います。どうぞお気に入りのケーブルなど見つけてください。また、

リニア電源の機器であれば第二世代電源化も可能ですのご検討ください。


DAC : X-DP10(FullTuned)

AMP: ss120

Cable: SPC-AV-SP(SPMD-10F付き)

 
ありがとうございました。


X-DP10というDACを預かりました2025-10-16

なかなか音の良いDACだ。余韻も滑らかさも私の感覚では不足だが、音全体のバランスがよく、一般の市販品の中ではおそらく抜群に音が良い製品。しかもしっかりした設計の良心的な製品だと思う。


X-DP10


もともとこの製品、当店のss120貸し出しセットをご試聴いただいたお客様からのチューニング依頼で預かったもの。


そのお客様、当店のss120とSPMD付きのスピーカーケーブルをご購入されて、その上でDACは貸し出し品のSU-1を使うのではなく、お手持ちのこの製品に第二世代電源を入れてチューニングしてくれとのご依頼。


しっかりした作りのこの製品はES9028を使った1ビットDACで、 

これはチューニングで激化けする可能性の高い製品。この音質を変えずに電源を正す。それによって音は最高のものになるはず。


しかし、製品が薄型で稠密構造をしているのでチューニング部品が入れにくい。。ここはひと工夫もふた工夫も必要になるし手間もかる。もちろん作業のリスクもあり時間もかかると思われる。


そんなわけで少し高めの見積になりましたがご注文いただきました。

お預かりしたDACのチューングが完成するまでSU-1をお貸しして聞いていただいてお待ちいただいている。


まずはデジタル回路。

基板の裏に部品の実装スペースがないので、アクリル板を追加してそこに実装。回路を切らなくてはならないLCMの取り付けにはちょっとした細工を使ったが、なんとか完了。


デジタル回路完了


ここまでやって、一旦組み上げて音の確認・・

デジタル回路の電源チューンだけでもこれだけ良くなるのか!! 改めて驚いた。

時間軸の精度情報が増えたのでしょう。演奏者のステージ感が向上し、位置情報がより明確になった。

造りが良いということはこういうことか、と再認識。良い設計、良い構成の製品であればあるほど電源を正しいものにする効果は歴然だ。このDACは細密チューンを入れればSUー1を凌ぐ音になるであろうことは明らか。


それにしても、つくずく、現代の整流回路の欠陥が残念でならない。機器本来の音はもっともっと良いはずなのに、電源の欠陥があるだけで本来の音が出せていない。。。


いよいよ、次は細密チューンを含めたアナログチューンに続く。。



NS-3MxをAlpair5Gと合わせて2Way化2025-09-23

ガラスコーンスピーカーをツィータとして追加


                      2025-09-25 更新

                                                                                 2025-10-02 更新


Alpair5Gという8cmのガラスコーンスピーカーを作った際に、その中高音の解像度の高さと響きの美しさが印象に残っていた。その反面、低音はほとんど出ないのだが。

1セットめのAlpair5Gは、友人宅に行って帰ってきそうにない。そのため新たにもう1セット作成した。その1セットがお客様への貸出先から戻ったので、スピーカーの新たな構成を試したくなった。Alpair5GをツィータとしてNS-3Mxに追加するというトライアルである。


ウチの机上スピーカーはチューニング済みのNS-3Mxであり、内部配線材と抵抗、コンデンサを高品質化しただけで以前よりは高音域に伸びが出ていたのであるが、何よりこれの内蔵ネットワークにはコイルが入っていてSPMDの効果がやや不足していた。それを改善したかったことと、さらに澄んだ高音と余韻が欲しくて、色々トライしてなんとかAlpair5Gをツィータとして追加して2Way化できたのでそのレポート。


まず前提として、ボックスに入れたAlpair5Gはその中高音の美しさから貸し出し機としても使っており、そのためそれなしでNS-3Mx単独でも使える状態で2Way化できないかと検討した。つまり、2Way化した際に必要となる周波数分解回路を箱の外に出すこととしたのである。SteinMusicのバナナプラグは何段にも重ねて使用できるのでその機能を応用した。下の写真はNS-3Mxの背面端子でスピーカーラインと、Alpair5Gへの分岐配線を重ねて接続している状態。

背面端子


最初にやったことは、まずAlpair5G側の分担周波数を8〜10KHz以上ぐらいとしてフィルムコンデンサ2.2ufを入れ、ゲイン調整のために5.2オームをAlpair5Gのスピーカーラインに直列に入れた。これらは何度も試聴を繰り返してカット・アンド・トライの結果である。


この状態でNS-3Mxとパラにして試聴してみた。

このままだとやはり上・下スピーカーの音域のぶつかり合いがあり、中高音域で音に濁りがでた、これはAlpair5Gの位相を反転しても改善されなかった。そこでNS-3Mxの入り口に10uF/6KVをパラに追加してローパスフィルタを構成し、NS-3Mx側の中高音を減衰させた。


2way_Rear


写真はこれらのフィルター回路を外部にぶら下げた状態のSP背面である。

SteinMusic製のベリリウムカッパー製バナナプラグで、NS-3Mxの背面には大きなフィルムコンとパラ配線を重ねて接続している


さらに、Alpair5Gにだけ個別にSPMD-6Fx2を取り付けた。これでより純度が上がった。


これでやっと上から下まで濁りなく、さらに高音部の解像度と情報量が改善されてSPMDの効果も抜群に働き、滑らかな余韻と臨場感に包まれている。良い音。


今日はRadikoでBayFM78.0のINTER-EXPRESS Hour.2を聴いている。フィニアス・オコネル(ビリー・アイリッシュの兄)の素敵な曲に包まれる臨場感も最高だが、アナウンサー門脇知子さんの声のリアル感がまた、堪らない。


優秀なユニットを、手持ちの部品で組み合わせるだけでこれだけの音が出せた。最高!


二日聴いてやはり訂正。。。(2025/09/25)

低音を負担させたNS-3Mzに10μFをパラったのは流石に大きかった。

低音の音の枠の部分が聞こえなくて、、要は中低音部が抜けた感じがあった。そのため再度コンデンサを調整して2μF(フィルムがなかったので積層セラミック)に交換した。


これで中低音部の抜けはなくなった。にじみもないのでまずはこの状態でまたしばらく聴いてみる。


さらに1週間聞いて、改めて調整。(2025/10/02)

どうも我が家のメイン・スピーカであるブリロンと比ると中高音域が出過ぎ。あまりに気持ちの良い中高音なので出過ぎで鳴らしても全く耳障りがなく心地よいため気がつかなかった。今日ブリロンと比較してみて改めて出過ぎと思った。そのため現在入れてある直列抵抗を試聴しながら上げていった。。+10Ω、つまり15Ωでブリロンの音圧とほぼ並んだ。やはりガラスコーンは音圧が高いんだな。

ビリー・アイリッシュが生々しくて、なんと色ッポ(^^;