MarkAudio Alpair5G というスピーカー ― 2025-08-24
Mark audio のAlpair 5Gというユニット
特殊なガラスコーンを使ったユニットとのことで、まずはその音を効いてみたくて買ってみた。鳴らすために共立無線の専用ケースキットも買って組み立てた。
組み立ては木工ボンドだけでほぼ済んでしまうが、位置合わせするための角材とか抑えるための重し(我が家では使わない小型SP:デッドマス付きがあった)などが別途必要になるが、ほぼ半日で組み立てられた。
塗装はSteinMusicの音楽用塗料・マエストロを前面・側面・上面にだけ塗った。白木のMDFだったけど、これを塗るとやはり見た感じに落ち着きが出る。
再生は次のシステム
アンプ:ss120(SPMD−6Fを4個内蔵)
スピーカーケーブル:SPC-AV(内部配線も)
音は、中高音のキレと抜け、情報量がすばらしい。低音も8cmユニットなので豊かではないがそこそこ鳴っている。これはスリット・バスレフのケースによるところが大きいかな。
バイオリンやギターなどの弦楽器が美しい。ピアノも良い。シングルユニットなので定位が抜群に良い。音の立ち上がりが良いと何を聞いても楽しい。この状態で少しエージングを進めてみようと思う。
写真は当店の作業机
机の両端にあるのは下が今回作ったAlpair5Gペアと上が前回チューニングしたEdiferMR3。
私が作業する時の音源は主に机の下にあるMacMini+SMSL(SU-1)+ss120と、気が向いたらBT接続でiPad ProやiPhoneから繋いでMR3である。写真に写っているキーボードとマウスはいずれもBluetoothで接続先をMacMiniとiPadProで切り替えて使えるようにしている。Appple製機器の端末間連携システムは使いやすくて良い。
MR3の音はいいのだが、アンプが右側だけに入っているため右から左まで配線を伸ばしていて左右の配線長を揃えることができない。そのため残念なことに臨場感ではイマイチなのである。だからMR3を使うのは環境音としてオーディオを流しておく時だけ。
その点Alpari5GはシングルユニットそのままをSPMD-6F入りのss120から等しい長さのSPC-AVでドライブしているので焦点はピタリと合う。高音部の高解像度と相まって演奏者周囲の空気感までが再生される。抜群の臨場感である。通常この位置にはYAMAHAのNS3-MX を置いていてチューニング後のアンプの音の確認などをしているが、しばらくはこのAlpair5G を使ってみようと思う。今はブライアン・ブロンバーグのアルバムをこれで聴きながらこの文章を書いている。エージングでどこまで音が馴染むか楽しみである。
プライベート・オーディオの勧め ― 2025-08-17
プライベート・オーディオの勧め
わずかに残っているオーディオ関連雑誌を見ると、高級オーディオと言われる機器の価格がエライことになっている。筐体も大きく重そうであり、重厚に見える。
いつからオーディオは金持ちの道楽になったんだか。。。。
こんなに値段の高いものばかりになると、オーディオって、桁違いにお金がかかるもんだとか、金持ちじゃないと楽しめないとか考える人が増えてしまって、自分で良い音を目指してシステムを構築しようなどと考える人たちはいなくなってしまう。現代の忙しい時間の中では、結局スマホ、パソコンや安いシステムステレオなんかで簡単に済ませているのがほとんどになっているのだろう。
そうなるとオーディオ機器を購入しようという人口が減ってしまい、どんどんオーディオ機器の価格は上がらないと業界も生き残っていけなくなる。その結果としてあんな数千万円や億円を超える装置が販売されていたりする。価格がいくら高くても決して良い音ではないのにねぇ。そうなるとお金を出す人もどんどん減ってきて、結局は真っ当な音質を求めるメーカーがなくなりオーディオ文化そのものが廃れてしまう。
確かにオーディオは趣味だから、どんな音が好きでも構わない。だから私はあなたが聞いている音が酷い音だとは言わない。しかし、たとえば家電店で販売されてる音はどれを聞いても私の耳には歪だらけの酷い音にしか聞こえない。これは音色の問題ではない、音質の問題である。一般のオーディオ機器の音は低音はぼやけ、中高音は耳障りである。音量を上げると、それはそれはやかましい音がする。音量を上げたらそれこそ近所迷惑である。それは、その装置が使っている電源に致命的な欠陥があるからだ。これはブログで何度も言っていることです。
誰ですか?「大音量でないと聞いた気がしない」などと言っているのは!
それはアンプの音が痩せているのです。不足している音をもっと聴きたくなるからあげたくなるのです。
オーディオなんて、勘所に少しお金をかけると途端に見違えるような滑らかで緻密な音を得られるようになる。一般のメーカーではやってないことだが、電源が基本なのです。
高級アンプの音に満足できずに当店にチューニングを依頼される方が多い。でもアンプは高級であればあるほど電源構成が贅沢であり、その電源を全てチューニングするとなるとそれなりにお金もかかってしまう。そんなお金をかけるのなら、素直に当店のss120を購入した方が圧倒的に安く最高の音が手に入る。
ss120は小音量からしっかり臨場感のある癒される音を出せるので、デスク・サイドやベッドサイドに置いてパーソナル・オーディオとして使うのに適している。小さい音量でも密度の高い滑らかな音の出せるアンプは当店のアンプ以外にはない。もちろん、100Wの総合出力があるので一般のリビングにも十分ではあるが。深夜にこっそり、小さな音量で滑らかな音に包まれる。しかも誰にもやかましいなどの迷惑をかけずに、ゆったりと包まれて1日の疲れを癒す。そういう音はこのアンプでなければできない。
「お金をかけたこと」をひけらかす必要のないオーディオならば、ss120は一択である。最高のコストパフォーマンスを保証する。
前にも書いたが、出川先生が昔からのオーディオ仲間で、大規模なオーディオシステムをお持ちのマニアの方にSPMD-10と一緒にss120をお貸ししたら、このアンプの音を気に入られてそのままご購入くださった。それはこのss120の音と使いやすさを気に入られた結果だとのこと。デジタル臭さがなく、管球アンプに負けない音がするコンパクトなss120 を心底気に入ってくださった。
見てくれよりも実を摂る。
オーディオってもともとそういう趣味だったはず。
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岡本
SPMD-10の測定波形 ― 2025-08-06
SPMD-10の測定結果
出川先生のお客様でオシロスコープに詳しい方がおられて、その方が管球アンプのスピーカー回路の音楽信号を測定してユニークなデータを送って下さいました。
測定回路説明
まずこの回路で、フル第二世代電源で駆動された真空管アンプの左右chに同じ信号を入れてその時の左右chの音の信号が全く重なっている状態を観測しています。黄色(左ch)と緑(右ch)がすっかり重なっているので黄色にしか見えません。
次に、左chにだけ位相ノイズキャンセル素子SPMD-10を入れたらどうなるか、を捉えたものです。
するとどうでしょう!
SPMD-10を入れた左ch(黄色)だけがわずかに電圧波形が先に進んでいるように見えます。これはコイルからの位相ノイズをキャンセルして電圧位相が遅れることなくスピーカに届いていることを意味しているのでは、と思われます。
あまりに音のリアリティが改善されるので、もしかしたらという予想があったものと思うのですが、スピーカーというコイル体に音楽信号が入った時に、電圧位相が90度遅れるという物理現象が不思議なことに無くなっているようですよね。
コイルに掛かった電圧の位相が90度遅れるという、教科書にも書いてある現象がもしかしたらキャンセルされているという、とてもユニークな効果であると思います。
それ以上に、この音は本当にリアルで素晴らしいものです。
別件ですが、出川先生が昔からのお客様にss120とSPMD-10を視聴用にお貸し出ししたらそっくりそのままお買い上げいただいたとのことで、当店にもss120の追加注文をいただきました。
そのお客様はWEのスピーカをお持ちの古くからのオーディオマニアでいらっしゃる(トライオード・フェス・ジャパン関連では有名な方)とのこと。その方にも新しい音の世界をお楽しみいただいております。
ありがとうございます。
Edifier MR3というマルチメディア・スピーカー ― 2025-07-20
Eifier MR3というマルチメディア・スピーカー
Youtube等で音が良いと評判のMR3、音が良いといってもどうせ内蔵電源はスイッチング電源であろうなぁと思いながらも、電源の改造をしてどこまで化けるかやってみたくて購入した。Bluetoothで繋がる音の良いマルチメディア・スピーカーが欲しかったということもある。なにしろ価格は密林で1万2千円ほどと非常に安い。
届いて早速BluetoothでiPhoneに繋いでみたが、案の定、ひずみだらけの土管音質。キンキンして想像通り酷いもんだ。 ユーチューバーの方々にはこんな酷い音を闇雲に良い音だなどと喧伝するのはやめて欲しい。そりゃあPC内蔵のスピーカなんかよりは遥かにいいかもしれないが、このスピーカーの実力はそんなものでは無い。スピーカーユニットは未知数だが、アンプ部はデジタルアンプであるので激バケする可能性がある。とにかく現状では電源がダメダメなので土管の中のような歪んだ音しか出ていない。
エージングよりなによりこのままではとても聞くに耐えないと、とにかく内蔵電源を改善するべく中を開けた。
上の写真はリアパネルを外してその裏側を見たもの。アンプ基板の上に黒く見えるカバーの中にスイッチング電源が入っていた。
スイッチング電源は18.5V20Wの標準的なもの、それの一次整流回路はGBP310(1KV3A品)で、一次整流直後のコンデンサは400V100uF。
ここでの電源改善方針は、前回励磁スピーカー用のスイッチング電源を音楽用に改善した時の内容(https://practnaga.asablo.jp/blog/2025/03/30/ )と同じ内容を実施する。
1)スイッチング電源の一次整流回路をB24A45HV2に交換して補助コンデンサは150uF/500Vとする。これで電源における整流回路の電流欠損を無くす。

2)電源の出力回路にFixCurrent相当回路(LCM+CPM|+コンデンサ)を入れて電流補償する。これでスイッチング動作による電流欠損とプラス・マイナスのノイズを無くす。
あと、最後に
3) 2wayのスピーカ駆動回路を調べてSPMDの効果がありそうであればSPMDを内蔵させる。
まず1)までで一旦試聴。
整流回路を入れ替えたスイッチング電源基板。流石に補助コンデンサが大きい。しかしまだ土管音質。このままではダメ。
次に
2)電源の出力回路にLC-9003Hを入れてその前後のコンデンサは25V6800uFと35V3300uFでコンデンサ比ほぼ2:1とし、最終段にはCP9003HCと50V10uFのセラミックコンデンサをパラった。
ここまでの作業でやっと土管から脱出。滑らかな音がでてきた。
最後に
SPMDの可能性を知るためにスピーカー回路を調べたが、さすがに小さいスピーカーを低域と高域に工夫して分けているためコイルを含んだネットワークが組まれていた。ただ、高域側のインダクタンスを調べたら0.2mH(実測値)と小さいものであったことから、SPMDの効果も期待できるものと判断し、3)を実施。回路の都合上右と左にそれぞれ1個ずつSPMD-6Fを取り付けた。
結局
上記1)〜3)の全てを実施した結果としての音は、チューニング済みのYAMAHAのNS-3MXと遜色無い音にまで改善された。むしろ低域はこちらの方が望ましいかもしれない。高域も十分に伸びているし、NS-3MXより明るい音である。コンパクトなくせになかなか良い感じ。
MacMiniを音源として、TunedSU-1+ss120+NS-3Mxの音と、
MacMiniのブルーツースに繋いだMR3を切り替えながら同じソースで比較試聴したが、机上での中音量までの領域はどちらも優劣つけ難い音がしている。
机の左脇のディスプレイ・スタンドの脇に重ねて両スピーカー
当店のチューニングは製品本来の音を引き出す。
滑らかな音、かつ解像度の高い音を目指すチューニングは一にも二にも電源を改善するものであり、決して音色を変えるものではないが、その製品の素性が良いものであれば間違いなく癒される音になる。
MR3も、素性はなかなか良い製品であった。これなら十分に本番利用できる。オーディオ製品にとって如何に電源が大事かと言うことをわかってもらうには良い製品である、とも言える。
そこで、このフルチューンMR3の音を聞いてみたい方にはお貸し出しします。
店主まで問い合わせください。
https://www.practsoundsystem.jp
Tel 090-3452-0279
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大きいスピーカーほど位相ノイズが大きい ― 2025-07-15
大きいスピーカーほど位相ノイズが大きい
検証してみると色々面白いことがわかってきた。
出川先生が以前言っていたことではあるのだが、ウーハーの音は本来の音を出しているのではなく、位相ノイズによって歪んだ音を聞いている、ということが見えて来た。その方が低音としてボリューム感があるように聞こえたり、人によっては迫力を感じたりして好ましいと感じているという事もありがち。
まず一つの例。
私の車には購入時オプションでBOSEのサウンドシステムを導入してあった。納車後最初に聞いた時は「ブーミーでこもった音に呆れた」ものであったが、いずれ電源を改良すれば改善されるとの意識があったため特にクレームをするでもなく受け取り、その後ヘッド・ユニットやマルチ・アンプへの電源改善とノイズ対策を導入して滑らかな音にした。しかしその時も低音のボリューム感が高く「低音出過ぎ、これがBOSEのチューンか」と半ば諦めてウーハーにだけ減衰抵抗(約2Ω)を入れてレベル調整して使っていた。この状態で長いこと乗ってきたが、先日SPMDを全スピーカーに取り付けてみたところ、ウーハーのレベルが小さいことに気がついた。そう思ってよく聴くと、低音の解像度が抜群に良くなり、バスドラムのキレが冴えてベースも実にスッキリなっているのにウーハーのレベル全体が低いのだ。もしかしたら、と思ってウーハーに入れていた減衰抵抗を外してみると、全てのスピーカーのバランスが取れて心地よい臨場感に包まれる音が再生されるようになったのだった。これで初めてカーオーディオの音がカーオーディオらしからぬ臨場感で再生されるようになった。
つまりこれまでは低音が出過ぎと思っていたのは単に位相ノイズでブーミーになった音を聞いていたからということがわかった。
別の意味で言うと、これは低音の無駄な(不正な)余韻を聞いている状態ということもできる。例えばバスドラムの音なんかは本来はそんなに長くは響かない。
位相歪みがなくなって音量が下がったように感じた例は先日の波形測定時にも感じた。
JENSENのA12という30cmの励磁スピーカー。励磁スピーカーは励磁コイルとの磁気相互作用で音の立ち上がりが速くて音がいいと言われているが、私の耳にはやかましくて歪みっぽい音にしか聞こえなかった。ここにSPMDを入れたり外したりして測定を実施したのだが、SPMDを入れた時にはスーッと音量が下がったように実にスッキリとなり、やかましさが無くなるのだ。これは劇的な効果だった。
全てのスピーカは位相ノイズの影響を受けている訳だが、やはり大きいスピーカーの方が、それを駆動するコイルも大きいためか位相ノイズがかなり大きいということがわった。それだけSPMDの効果が歴然としているということも。
振り返ってみると、ツイータやスコーカー、あるいはウーハーにまでホーンを実装して余韻を出すように工夫したスピーカーシステムというのがあるが、それらは結局録音された音そのものを増幅しているわけではなく、位相ノイズにまみれた汚れた音を響かせているだけ、と言えるだろう。だいいち、マルチスピーカーをパッシブ構成した時点でネットワークにコイルが入っているので、その時点で倍音はカットされてしまって出てこないし、アンプの電源がノーマルであれば余韻も出ない。
余韻も倍音も含む優秀なソースの状態を再現するためには第二世代電源でアンプを駆動し、そこにSPMDを入れて忠実に再生させるべきだと私は思う。
余韻や倍音はスピーカーが加算するものではなく、優秀なソースをアンプ・システムが忠実に再生するものでなければいけない。そのためには電源の改善は必須。電源の改善もせず、SPMDも入れない状態で、ホーンで響かせただけの音で「余韻が出ている」と勘違いして満足している人たちのなんと多いことか。。。歪みを増幅して聞いているだけかも知れないのに。。。土管の中のような音がしないのかな??
そういえば、コンサートで聞くPAの音って歪みだらけだ。
先日行った玉置浩二のコンサートも音が良かったのは彼の「生ギターで生歌」を聞いた数曲だけで、バンドと一緒にPAを使って歌った音は歪みだらけの酷いものだった。PAの電源がダメ、位相ノイズがダメのダブルパンチ。
もう一つ言うと、決して音楽ソースも完璧じゃない。録音システムの電源がダメダメだったりするから。
出川先生のところで第二世代電源で駆動されたマイク・アンプとレコーダーで録音されたデータから作られたCDを聴かせてもらったことがあるが、あの臨場感は素晴らしいものだった。その意味ではオーディオ業界の技術革新もまだまだこれからなのだろう。。。
海外ではスピーカの位相ノイズを最初から起こさないようにドライブできる(?)AI制御のアンプを内蔵したアクティブスピーカなんかが計画されているようだ。ほんとにそんなことが可能なのかはしばらく待ってみないとわからないが、日本のメーカーはその辺のところはまだまだの様だねぇ。。。。Sign!!
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