X-DP10チューン後半 アナログ回路のチューン2025-10-18

さて、アナログ回路のチューニングだが、これがなかなか難しい。


 普通なら細密チューンの部品は基板の裏にとりつけるのだが、薄くできた本体の都合で基板下にはほとんど隙間がなく取り付けられない。ミニCPMの厚さは6mmに対して、5mm以下しかない。そうなると基板の上、例えばSU-1の時とおなじようにオペアンプの足に上から取り付けるようになるのだが、なんせオペアンプの周辺には稠密にコンデンサやリレーが実装されていて半田ごてを通すだけの隙間がなく、無理にやってしまうと周辺のコンデンサやリレーを焼いてしまいそうで怖い。これの基板や部品を壊さずに細密チューンを実装するにはどうするか、かなり悩んだ。


 第二世代電源はデジタル電源と同じ様にアクリル版に載せて基板上に実装すればなんとかなるが、オペアンプ直近に入れなければならない細密チューン部品たちの実装をどうするか、その手順を含めて決めるまでにかなり時間がかかってしまった。


 結論として、ウチにある半田吸い取り機をフルに使うことにして、対象のオペアンプを全部外して作業することとした。

 とにかく一旦丁寧に外し、ソケットに乗せて作業する。そこで万が一オペアンプを壊したとしてもオペアンプ単品なら殆どウチに在庫があるので安心。で、ソケット上で作業したらそのままテスト回路にのせて動作確認を実施し、OKならソケットごと基板に取り付ける。

 そうすることで、万が一細密チューンが適さないケースがあってもすぐに外せるし、あるいは、いずれオペアンプの交換も簡単に楽しめるようになる。まぁ細密チューンを実施するとそのままで十分に良くなるのだが。


アナログ回路完了

こうしてアナログ回路のチューンを完了した状態が上の写真。


細密チューン部品をのせたオペアンプが一個、第二世代をのせたアクリル板と干渉したりたけどなんとか収まり切った。

 

 音は、余韻が出て、滑らかな音で良い音。この状態でしばらく聞いていたが、細密チューンを実施した割にはなぜか音の鮮度が足りない。どうしたことかと再調査した。そうしたら、DACのアナログ回路電源がアナログ基板にある簡単な整流回路からオペアンプ電源を通じて給電されていることがわかった。普通、全波整流はブリッジを使うものだが、ダイオード2個だけで整流してあり、半電圧全波整流とでも言う回路で整流されていた。実に簡単な回路なので表示系の電源か何かと思っていたのでチューニングからは外していたが、実はここがオペアンプ制御の電源になっていて、そこから隣のデジタル回路にあるDAC ES9028Q2Mのアナログ回路に行っていた。

 

 安いDACだとデジタル回路に置いたDACの電源はデジタル回路から、アナログ回路に置いたDACの電源はアナログ回路から取られていることが多いが、このDACは実に真面目にデジタル回路はデジタル電源から、アナログ回路はアナログ電源から、それもオペアンプを使用した安定化電源を通して給電されていた。実に贅沢な回路ではある。だが、整流回路がダメダメだから音の鮮度がイマイチ出ない。実に惜しい。


 最後にここ(DACチップのアナログ電源)にFixCurrent+CPMを入れて安定化電源の電流欠損をなくした。最初は整流素子をB12A06H2あたりに交換しようとも検討したが、ダイオード2個の特殊な整流回路であるため使えず、結局は12Vレギュレータの後ろにFixCurrent+CPMを入れて対策したもの。2個のダイオードはショットキーバリヤに交換も実施した。


 ここまでの改善でやっとお客様に自信を持って納入できるDACになった。確実にSU-1を超えている。

 

 DACチップとオペアンプ、全てのアクティブ素子に細密チューンを入れる。それでDAC本来の音が出るようになる。ここまでチューンした時の音の差はDACチップの違いやオペアンプの差などで本来のDACシステムの音の差になる、つまりそれらを初めて評価できる状態になる。正しくない電源で運転されている一般の機器などはそこまでのレベルには全然到達しないので比較の対象にもならない。オペアンプの交換などは電源を正してからこそ、味わうべき趣味である。


 今回のDACのチューニングをご注文なさったお客様もお手持ちの市販アンプ(アキュ製)を手放されて当店のss120+SPMDをお求めになられた。正しい電源でドライブされたシステムでこそ、SPMDの効果が最大限に発揮され、一般電源では絶対に経験したことのないような臨場感を味わえるシステムになる。


お客様には本日発送を完了した。

ご注文いただきありがとうございました。



10月21日追記更新


今回のお客様(しかくん様)がブログにコメントをつけてくださいましたが、その後、ご感想の第一報をメールで送ってくださいました。以下に転記します。

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X-DP10もとても良い音で鳴っております。低音方向も伸びていますし、中高音のキラキラ感もすごいです。

キラキラ感と言っても、とってつけたようなキラキラ感ではなく自然にある音響に少しキラキラ感が乗っている状態なのですが、作り物感があまりないので、とても気持ちがいいです。
通常中高音が目立つと音やせしたりすることが多いのですが、そういうことが全くないですね。
まるで別物です。本当に素晴らしい!!

 

電源ケーブルで解像度を上げるような製品だと却ってだめになるかもしれないですね。DACに直接つなげたわけではないのですが、ラックスマンの電源ケーブルをLANのネットワークのリニア電源につないだところ、音の拡がりが縮小して少しつまらない方向に変化(十分にいい音ではあるのですが)したので、普通に安いケーブルの方がいいかも、と思いました。

 

ケーブルの変更で音が大きく変わっているので、ウチのシステムの精度があがったということだよな、と一人悦に入っております。

 

何かを変えるとその変化が如実に表れてくる感じです。

 

いずれにせよ、現システムは過去の当社比最高レベルにあることは相違ありません。

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以上ですが、まずは、喜んでいただけて何よりです。


当店のチューンは基本的に音源の電流欠損をなくすことと、アクティブ素子個別にチューニング部品を実装してとことんまでそのパーツの音を引き出すことでその製品そのものの本来の音を呼び起こすことです。そのため少し明るい音調にはなりましたがそれは使われているDACチップであるES9028Q2Mの音です。むしろ現代の音としては好ましい方向だと思います。また、これらの改善を行うと音の密度と解像度が極端に高くなります。そのためお客様のようにその他の機器なり電源なりを少しいじっただけでのその違いが聞き分けられるようにもなります。配線類は変えれば必ず何かが変わりますのでその差を楽しむのも良いですが、深みにハマると大変ですが。。。


しかさん様の構成は次の通りですので、現代最高の音であることは

間違いございませんが、DACの上流側になるネットワーク機器の電源の良し悪しは音を如実に左右します。今回電源ケーブルを変えたら音が変わったとのことで、その一部をご確認いただけたとことと思います。どうぞお気に入りのケーブルなど見つけてください。また、

リニア電源の機器であれば第二世代電源化も可能ですのご検討ください。


DAC : X-DP10(FullTuned)

AMP: ss120

Cable: SPC-AV-SP(SPMD-10付き)

 
ありがとうございました。


コメント

_ しかくん ― 2025/10/21 11:52

難しい作業をしていただき、ありがとうございました。
お借りしていたSU-1も素晴らしいですが、チューンしていただいたX-DP10も素晴らしいと思います。とても気にいっていたDACだったので、修理が効かなくなるかもしれないという考えも一方であり、チューンするかどうかは結構悩みましたが、借用したSU-1の音のレベルになるのだから、チューンしないという選択肢はない、と思い切りました。
音の響き具合がチューン前と全く違いますね!!キラキラと輝いています。低音はしっかり出ていますので、中高音が多すぎるということもありません。

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