DS200試聴記(その4:チューン記録その1)2024-06-17

小型DACであるDS200が、フルチューンしてある当店のメインDACにどこまで近づけるかやってみたくなりました。
当店のメインDACは、CS8416+CS8421+PCM1798という基本構成に、電源はデジタル回路、アナログ回路、サンプリングレートコンバータ回路+クロック用電源と4つの電源をそれぞれトランスから分けて第二世代電源で作ってあります。さらに内蔵しているDACチップやオペアンプなどの主要部品にはその全てにLCMとCPMを奢っており、これ以上無いほどに電源部を作り込んでいます。その結果として、懐の深い豊かな臨場感に包まれる音が再生できています。女性ヴォーカルなどは実に艶かしいです。

これに対してDS200には第二世代1系統だけで給電してるだけでしたから、音が良いとは言っても臨場感や音の深さなど、当店のメインDACとは比較になりません。

内部回路にまで手をいれればさらに改善されるのはわかっていましたが、あまりにも筐体が小さく、また、半田付け先も極小であることからこれまで諦めてました。そうは言ってもこちらもSA9226+PCM1975という定評のある構成ですからかなりの音が出せるはず、とも思っていました。

今回内部のスペースを良く検討したところ、苦労すればなんとか入れられるかもと思い立ちトライしました。最低でも入れたい部品はLCMで、入れる場所はDACのアナログ電源(3箇所)とオペアンプの電源(2箇所)の計5箇所です。

チューンはソース側から、の基本通りにまずはDACチップに入れてみました。
PC1798にはアナログ電源が(左・右・共通)と3つ個別に引き込まれています。
次はDACアナログボードの写真です。
この写真の真ん中にDACチップがあり、赤丸で囲んだエリアにLCMの配線を組み込まなければなりません。

給電ラインはどれもチップコンデンサを素子直近に配置してしてあり、それを経由して給電してあります。そこで、チップコンに至る電源ラインをカットして、その点とチップコンの間をLCMでバイパスするように接続します。LCMは回路に直列にいれなければならないのでこういう手間がかかります。
これらをつけただけでほぼ、基板のスペースが無くなりました。
また、オペアンプはこの写真のLCMの真下にありますので、基板の表側からの配線は物理的に無理です。しかし基板裏はケースとの隙間が2mm程度しかないため何も入りません。
よって今回のところはここまでとして一旦組み上げ、動作確認と試聴をしてみました。

いや、びっくりです。
良くなることはわかっていたのですが、こんなに効くとは思いませんでした。低音のキレ、高音の立ち上がりと伸び、余韻や臨場感も格段に改善されました。ただ、チップの特性か少し当店のマスターDACより音が固めです。そしてやはり女性ヴォーカルの艶かしさはまだまだ出てこないです。
でも、この大きさでもここまでの音がでる。それは本来のチップの音ですね。

こうなるとやはり後段のオペアンプにもLCMやCPMをいれたくなっねしまいますね。。。
また少し考えまてみます。やればやるだけ良くなるので楽しいですが。。。



!!ご注意!!
今回の加工はDACチップ直前の基板パターンをカットしてそこに配線を繋ぎこむという「強引で細かい作業」です。LCMの半田付け先もチップコンの端子ですので、一歩間違えば基板を故障させます。ですから、半田付けや細かい作業に慣れておられない方は絶対に真似しないでください。例えば、チップコンに熱を加えすぎるとそれ自体が外れてしまいます。そうなると手半田では2度と取り付けられなくなります。コテの当て方が悪いとDACチップを破損してしまうこともありえます。

当店としてもこのような細かいチューニング作業はリスクが高くてお受けできません。
あくまで店主の実験として自分のDACでやっているだけであることをご理解ください。



DS200 試聴記2 ハイレゾで試聴2024-04-17

DSFデータを入手しようとしましたが、知らないアーティストが多く、私好みの楽曲が無くてちょっと購入を躊躇しています。それより、振り返ってみれば当店にも高解像度データはかなり揃っていることに気づきました。まずはそれで試聴してみました。

試聴では次の構成にてハイレゾ再生を行っています。
信号の流れを上から下に直列に接続してあります。

MacBookPro(2018,32GB) + Audirvana(再生ソフト)+音楽データ(HDD)
+ USB-C=>USB2.0変換アダプタ
+ USBノイズフィルタ(FixCurrent相当品:自作)
+ USB信号清浄回路(Inline)
+ DS-200(DSD-DAC)
+ SD8RCA-n(ラダー型RCAケーブル)
+ InlineRCA
+ Swing (SteinMusic製真空管プリ)
+ SD8RCA-n x 2set
+ Duo (ハイブリッドパワーアンプx4台:バイ・アンプ構成)
+ SD8SP-n(ラダー型スピーカーケーブル) x 2set
+ Brilon1.0SLE(ドイツ製スピーカー:内部ラダー化とコンデンサ交換済み)

Audirvanaはフランス製の音楽再生ソフトで、コンピュータの音楽信号インターフェースを占有してビット列の乱れが生じない工夫をしており音の良さは世界一と言われています。使ってみるとわかりますが、ほんとに音が良いです。さらに、このソフトiPad、iPhoneや別のMacからリモートで操作できるという優れものです。
使い始めたら便利だし音が良いし、で、やめられないかと。

上記の真空管プリやパワーアンプには第二世代電源、DS-200にはFixCurrentを入れてあります。DS-200は国産の低価格DACですが、良い設計思想の元、実に音が良いDACに仕上がっています。伸びも余韻も豊か。低音から高音まで全域にわたって解像度が高く、立体感があって定位もしっかりしてます。包まれる感じが心地よいです。いつまでも聞いていたい音というのはこういう音です。

写真は当店のライブラリからハイレゾ音源を鳴らしているところです。
192Hzの周波数検知ランプ(右端の緑)が点灯しています。
本体のボリュームは信号が通ってないので最低位置です。純粋なDACとして使っています。
上記のリスト記載の通り、MacのUSB-C出力にUCBアダプタを介してFixCurrent相当品とInlineUSBを直列に介してDS-200に接続してあります。小さなUSB-Cソケットに対して接続されているものが長いのでやや心細いですが、通信不良はありません。
電源に入れたFixCurrentは機器の背後にあり見えません。
DS-200使用状態

次回、試聴記3では、当店のマスターDACと比較する予定です。

DS-200届きました(初試聴記)2024-04-16

まず、何も介さず付属のケーブルでMACmini(M2)にUSB接続し、DS-200のRCA出力をSTAXに繋いで視聴しました。再生アプリはVOXで44.1KHzのCD品質音源を再生。
=>低音が少しブーミーであり、やや不明瞭
=>余韻が少し不足。しかしこの価格でかなりの余韻が出ていることに驚き

①USBラインに手作りのFix Current相当回路を入れてみたら、、
=>低音の分解能向上しスッキリした
=>余韻はかなり改善された
これはおそらく、デジタルラインの電源をUSB入力と共用していることによるのではないかと推察。

②さらに試しに上記に加えて外部給電ラインに製品版Fix Currentを入れてみると。
=>低音、、少し良くなった。
=>余韻、、少しよくなった。
FixCurrentの効果があまり無いのは、外部給電に対する内蔵フィルターがしっかりしていることの証で、アナログ回路はFixCurrentを入れなくても相当に良い音であるということ。

③上記に加えてUSBにSteinMusic製Inlineを加えてみる
=>全てがさらにはっきりして音像が明瞭になった。
=>この状態がベストと思う。

ここまでの結果を総合すると、、
そもそもUSBラインには、送り側であるパソコン内部のノイズがたくさん載っていて汚い。
そのノイズは電源線と信号線の両方に乗っている。このため
①USBの電源ラインにFix Current相当回路を入れてUSBの電源を清浄化すること。
③USBの信号ラインにInlineUSBを入れて信号を清浄化すること。
これらの二つのことをするだけで最高のDACになる。
外部給電ラインへのFix Currentも入れた方はいいが、効果はさほど高くない。

それにしても、このサイズ、このコストでこれだけの高音質なDACが構成できることに驚いた。
素晴らしいDACだ。
前にも書いたがボリュームやアナログ回路を介さないダイレクト出力がRCAに出ていることがさらに素晴らしい。入力セレクタも付いているのでうちのメインにもなりうる。
余裕が出たらもう一台購入しようと思う。

今後、メインのシステムに繋いでの視聴と、さらにDSFファイルを送り込んでの視聴もする予定だけど、もう音が良いことがわかっているので視聴そのものが楽しみ。




PMA1500R 再チューン2024-03-01

DENON PMA1500R(1998)
友人から譲られたPMA1500R、先日第二世代化した際に「中高音は実に綺麗に響くが 低音のゆとりがいまいち」という書き方をした。

今回改めて思いついてコンデンサ容量を見直し、さらに最終段にLCMを追加してみた。そうしたら実に豊かで明確な低音が響くようになった、しかし、それより何より全体が豊かな余韻に包まれて臨場感が素晴らしい。スピーカーを全く感じない。演奏者がその場にいるリアリティと演奏者の配置が眼に見える精度感。実に見事なアンプに化けた。増幅素子にUHC-MOS(120A)を採用しているというが、電流容量の余裕の効果は素晴らしい。1998年当時68000円のこのアンプ、ゲキ化けするアンプであった。

使った部品は次の通り
1:BC80A22HVer2 (24200) x 1個 => 24200
2:CP-3006HC (3520) x 4個 => 14080
3:コンデンサ 5600μF 80V (1980) x 2個 => 3960
4:コンデンサ 12000μF 80V (2310) x 2個 => 4620
5:LC-9003H (8360) x 2個 => 16720
6:コンデンサ100V1500μF (891) x 2本 => 1782
以上 総合計:65,362円(コンデンサは参考価格)

このアンプ、私は最初のチューニングで「低音が不足」と失礼な書き方をしてた。
しかし本当は実に美しい臨場感を再生する可能性を持ったアンプだった。従来の音源ではこれをほとんど利用できてないが、第二世代化でも最大限のチューニングをしてやらないと全ての才能を引き出すことはできないということと思う。
最初の判断を誤ったことへの罪滅ぼしと、私にこの装置をくれた今は無き友人への感謝の気持ちを込めて、この装置をお持ちの方には部品代のみ(工賃無料)にてチューニングをお受けします。

同型のアンプをお持ちの方はお申し出ください。
現状のまま使うのは実にもったいないです。

ある日のチューニング記録2024-02-15

少し前にチューニングで預かったアンプ

なぜか最初からハムノイズが載っている。
ウチは故障品は預からないのでお客様にハムノイズ出てますけど、と具申。
すると「譲られた時からそういうものだからそのままチューンしてくれ」という。
ハムが乗るということは音に濁りを含むということで、、、せっかく第二世代化してもベストにはならない。。
いろいろ調べてみたらこのアンプ、通電直後にはスピーカー回路を切っておく保護回路が入っているがそれに関係なくノイズが出ている。。ということは、チャージ回路の電源が怪しいということで回路を入り口からトレースした。するとトランスから電源基板に配線を入れている端子台の半田づけに割れが見つかった。ここが接触不良を起こすと、アンプとしてはなんとか動作してても配線がアンテナになってハムノイズを飛ばす。まさにその現象と判明。

端子台の半田を除去して新しく銀ハンダで固定。これでハムノイズはすっかり無くなった。その後予定通り第二世代電源をフル実装してお返しした。

結果、お客様にはすごく喜んでいただけた。「第二世代電源の効果凄い」と言っていたが,、まぁ、それだけじゃないんだよなぁ。。。