X-DP10の追加チューン ― 2026-05-03
X-DP10の追加チューン
4月15日にX-DP10の細密チューンを終わらせて、「いつまでも聴いていたい音」と書いた。しかし、4月17日にSU-1のチューニング加算を実施して聴き比べると、やはり、X-DP10の音は1ランク落ちるのである。聴いた瞬間はわからない。だけど例えば1日とか長時間聴き続けている後で疲れを感じるのである。これはやはりどこかまだやれることがあるはずである。
長時間聴いて疲れるということは脳が余分な補正をしている時間が長いことで疲れるのである。しかし、いろいろ調べたが、どこにも見当たらない。これまでやってきたチューニングは全て電源のチューニングであり、いかに綺麗な直流でそれぞれの回路をドライブするか、という点に着目して実施してきた。現在ではX-DP10に入っているES9028Q2MというDACチップも極限まで電源チューニングはされていると考えて良い。それでも出てくる音が疲れるということはどこかに音を不自然にしているところがあるということだ。仮にSU-1の4493よりもES9028の方がもともと音が硬いとか高音寄りとかいうことはあったとしてもそれらが疲れを呼ぶとは思えない。
疲れの原因はどこかにある歪みである。耳にはそこがよくわからない。脳が勝手に補正してしまうものなのだろう。そうやって脳が補正しつつ長時間聞くから疲れるのである。これではまだまだである。
DACチップは最良の音を再生していると想定した時、その後ろで音を歪ませる要素があるのかないのか回路を詳細にトレースした。その結果怪しいとして目星をつけたのが、DACチップのIVとして使われているNJM5532DD。このチップは太めの安定感のある音が定評があるものなのだが、DACチップが出す高い周波数までの追従レスポンスはどうなのだ、と少し疑った訳である。
AIにここを聞いてみたら、やはり思った通り『このDACのIVにはよりスルーレートの高いチップに交換した方がいい』と言ってきた。まぁもっとも、私が「音の疲れの原因はここが怪しんでないかい」とAIに示唆したらそれに同意してきただけだが、交換すべきチップをちゃんと提案してくれるところはいいところだ。しかもその理由もしっかりしている。提案されたOPA1612のスルーレートは5532DDの3倍であり、周波数バンド幅などは140KHz vs 40MHz となんと300倍近い差がある。しかも1612は超低歪みである。
これが元々ついていたNKM5532の概略スペック
これが新しくいれたOPA1612の概略スペック
AIって、提案してくる時は自信たっぷりな文言で提案してくるが割と当たらないことも多い。ただ今回は提案内容に納得できたのでOPA1612を注文して替えてみた。
その結果、なぜかこれが一聴してわかるんだなこれが。以前は聴き疲れしないと考えていた音がやはり少し耳障りだったのだと理解した。
今は、その音の滑らかさ、しっかりした高音部の繊細な太さ、音のきめ細かさというのかな、何かが、これがリアリティというのかな何かが違う。高音部の耳障りが一切なくなった。そして、静けさを含めて改善された。
あれから二日聴いているが疲れない。癒される音とはこういう音をいう。脳が勝手に補正しない音である。従来の整流回路ではこういう音は絶対に無理である。
出川式電源に感謝。
PrePowerにお客様のご感想をいただきました。 ― 2026-04-26
PrePowerへのご感想をいただきました
宮崎のGrimAudioMU2のユーザであられる田島様からPrePowerを使った時のご感想をいただきました。素晴らしいご感想ですのでご本人のご了解のもと、そのまま紹介させていただきます。
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MU2用電源「PrePower」使用レポート
導入から一ヶ月が経ちましたので、使用感をお伝えします。
比較のため、本日いったんPrePowerを取り外してみました。外した状態では、音がスピーカーの前へ元気よく飛び出してくる印象で、音のかたまりに包まれるような感覚があります。細かい音も聴こえるのですが、周囲の音と一緒くたになって飛んでくる感じで、音量を上げると少し聴き疲れを覚えました。
そこで再度PrePowerを装着してみると、変化は明らかでした。全体的に前に出ていた音が少し引っ込み、スピーカー間の水平面が最前面になるような感覚に変わります。そして奥行きが広く深くなり、前に出てくる音と奥で鳴る音がきちんと分かれて、それぞれの距離感がはっきりと伝わってきました。
音を構成する楽器一つひとつの音がよく聴こえるのですが、いわゆる分析的な冷たさはなく、むしろ優しい印象です。「音がほぐれる」という表現がいちばん近いかもしれません。たくさんの音が出ているにもかかわらず聴き疲れがなく、長い時間音楽を聴いていました。
結論として、PrePowerを繋いだ状態のほうが、ずっと気持ちよく音楽を楽しめます。素晴らしい製品をありがとうございました。
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当店はホームページにも書いておりますが『癒しの音』を出せる機器や部品を提供することを掲げております。
このような具体的なご感想は大変に嬉しいです。
特に、とかく耳障りになりがちがスイッチング電源の機器(今回はGrimm Audio のネットワークプレーヤ MU2)でも、このPrePowerから供給することで、滑らかで聞き疲れのない音に生まれ変わることがわかりました。素晴らしい結果だと思います。
田島様ありがとうございました。
SUー1チューニング加算 ― 2026-04-17
SU-1チューニング加算
2026-04-25追記
先日終わらせたX-DP10のチューング。最後の「DACチップチューニング」までやってやっと満足できる音になった。ES9028Q2Mは音としては明るめで少し荒い音と言われているが、電源を浄化してコンデンサ・チューンをやることでここまで良い音になるとは、実はあまり思っていなかった。それよりもAK4493EQというベルベットサウンドのDACを持つSU-1の方がもっといい音がしていいはずだと思う。
SU-1のチューニングでもDACチップにLCM、CPMは入れているが、コンデンサ・チューニングはしていない。やればいいのかも知れないが、あの小さな筐体に無理にLCM、CPMを入れてあるのでこれ以上は入れる隙間がないとも思ってあれ以上のチューニングは諦めていた。
しかし今日、思い立ってケースを開けてみた。コンデンサを追加したいのはDACのアナログ電源に入っている電解コンデンサである。X-DP10のように4個のコンデンサを追加するなど狭くてできないが、2個ぐらいまでであればCPMを取り付けた箇所に追加で取り付けられそうでもあった。アナログ回路はセラミックコンデンサだけでは音が固くなる。適度にフィルムコンデンサとかシルバーマイカなどをパラにした方が柔らかで高級な音になる。
当店で扱っているERO(独:エレクトロ・レーダーシュタイン)のフィルムコンデンサは音楽的効果は高いがこのDACに入れるにはサイズが大きくてとても入らない。だが、実は昔手に入れた小型のメタライズド・ポリ・フィルムコンデンサがあるのでこれを使ってみることとした。
つまり追加するのは村田製作所の10uFとMPFCの33nfである。これら2個の足を絡めてパラにして1個にまとめてから足の形を調整して狭いところを狙って半田付けした。
これが完成した状態。青と茶のコンデンサが抱き合わせて左右に1組ずつあるのがわかると思う。
これまでは若干最高音域のキラキラ感があったんだが、今回のコンデンサ追加で中高音域の音に芯が出て全体に厚みが深くなりキラキラ感がなくなった。これで本当に良い音になった。こんな小さなDACで十分な重厚感が出てる。
このDACは机の下のMacMiniに繋いでいて、机の脇のss120を経由して机の両脇においている小型モニタースピーカーで流しているが、メインシステムにも劣らない音となった。もちろんUSB接続にはUSB-PD FixCurrent+CPMは必須である。
<当店でチューニングしたSU−1をお使いの方へ>
上記のコンデンサチューンの追加をお請けします。
費用は部品代込み税込で一式10,000円です。
非常にリスクの高い作業ですので、あらかじめメールにてご予約を
お願いいたします。
なお、ss120セットに入れているDACとss120には常に最新のチューニング品を入れてます。
<ご注意>
このところ紹介しているDACチップへの細密チューンは『回路を知った上で、はんだの特性やコテ温度などの半田付けの要領(コツ)も理解している人』しかやってはいけない。最悪DACの心臓部を壊してしまうことになる。やる時は「壊しても良い装置」で何度か半田付けの練習をすることを強く勧める。私も26年この店を続けているが、自分の機器は何台か壊しているしそれも授業料と思っている。
それと、こうしてチューニングした機器を「試聴用に貸してくれ」という方もおられるがそれははっきりお断りしている。X-DP10チューニングの写真を見ていただくとわかると思うが、ボッテリと不自然にコンデンサを追加した基板が輸送中の長時間の振動に耐えられるとも思えない。貸出先で聞こうとしたら故障していた、では双方にとって不幸である。自分用のものは一切移動への配慮はしていない。逆に製品版はそういうところにも気を使って作らねばならないから手間がかかるし、実装できないこともある。
この最高水準のチューニング機器の音を聴いてみたい方は当店の作業部屋(試聴室ではない)まで聴きに来てほしい。突然は困るが、前もってメールをいただければ調整は可能である。
X-DP10:DACチップの細密チューン ― 2026-04-15
DACチップの細密チューン
先日のブログでAVCC_R とAVCC_L(DACチップのアナログ電源)がアナログ基板からきていることは書いた。それでそこにLCMを入れて改善されたのであったが、まだやはり私のマスターDACに比べて落ち着きというか重厚感かな、何かが足りない。
どこが不足かと振り替えってみた。
アナログ回路の元電源を出川式にして、その給電回路にLCMやCPMを入れ、アナログ回路にある再生で使用するオペアンプには全て細密チューンを入れ、さらにはIV変換用のオペアンプは MUSE02に交換もした。そうやってアナログ基板の回路はこれ以上ないくらいにチューニングしてある。
デジタル基板に入って昨日にはDACチップのアナログ回路の改善をした。それでも音が良くなったのだが、今日まで聞いて結局それでもまだダメ。。これはDACチップそのものの差かと思い始めた時、DACのチップ周りの回路を調べていてもう1箇所アナログ回路から電源が送られている回路があった。調べたらDVDD(内蔵クロックとPLLの電源)であった。これって、DACチップを動かす心臓部の電源だよな、ここも改善しなければ、ということで取り掛かった。
まずAVCCと同じように、アナログ基板上の電源ラインにLCMをとりつけて電流を清浄化した。次に、ここは内部クロックという激しい振動を補償する電源だから、電流量は微少だけどそれだけに荒れやすく高い周波数まで電流を供給しなければならない場所にも関わらず既設では47uFの電解コンデンサしか入っていない。これではクロックの高周波は補えない。そこで高周波を補強する3種のコンデンサの出番。すべて村田製作所製セラミックコンデンサで、10uF,1uF,0.1uFをパラにして取り付けた。これでクロック波形は整い時間軸を含めて改善されるはず。
またその時、せっかく分解したのでアナログ回路のさらなる改善も同じ思想でコンデンサをパラればもしかしたらできるのではないか、との思いから10uF,1uFのセラミックコンデンサとフィルムコンデンサ(以前、SteinMusicからもらっていたもの)1nfと22nfの4個をパラに取り付けた。ダメだったら外せばいいだけなのでまずはやってみた。
その写真が次の通り。
ESSと書かれたDACチップを囲んで写真下、左側がDVDDの電解コンにパラにした3種のセラミックコンデンサ。その右側の上・下でDACチップを挟んでいるのがセラコン2個とフィルムコン2個をパラったAVCCの右・左。緑色のコンデンサがHolger Steinから昔もらっていたもので『音が良くなるから電源に入れろ』と言われていたもの。小型とはいえ4個もパラるとボッテリとかなりのボリュームになってしまった。
DACチップのすぐ右側がアナログ基板とのコネクタである。このDACが電源をアナログ基板から取って来ているところは評価されるべきところなのだが、なにぶんレギュレータ回路から最遠の末端でデジタル基板に繋がっているため、ここのアナログ電源はかなり荒れていると思っていい。だからここからDACに給電している3つの電源を清浄化してさらにコンデンサでチューニングすることで音はさらに改善されることが予想された。
聴いてみて納得。また音のランクが一段上がった感じがある。最高音にややキラキラ感があったものがすっかり消えて落ち着きと静けさと重厚感が増した。一聴してわかる違いである。いつまでも聴いていたい音。これなら作業中のBGMとして十分に楽しめる。やっとこさメインダックと入れ替えられるかな。。`
お客様からのご感想 ― 2026-04-14
お客様からのご感想
1月に、東京の三箇山様という方から、当店に一度来たいというメールをいただいた。その時「当店には試聴室はない」と返事したのだが「自分のアンプを自分で良い音にしたい、そのためのアドバイスがほしい」とアンプを持参するとのこと。もともと当店は自作する方のお手伝いがしたくてCDメカを輸入してのキット販売から始めた店なので「自作」を前に出されるとお断りすることができない。
で、狭い6畳の私の作業部屋においでになられたのが2月の始め。話をすれば実に前向きな方で、楽しく会話させていただいた。その後CPMとLCMを当店からお求めいただき、何度か作業経過のやり取りをしながらトライされたがうまくいかず、作業途中のアンプを持って再度いらしたのが先週末。
その時、当店の音についての感想を書いて欲しいとお願いして送っていただいたのが次の感想文。ご本人の了解を得ているので原文のまま紹介させていただく。
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岡本さんのシステムは、記憶に残る。
今まで色々なオーディオシステムを聴いてきたけれど、あの音は種類が違う。最初に聴いたとき、ヘッドフォンのような頭内定位に近い感覚があった。もちろんヘッドフォンではない。スピーカーから音が出ているのに、音が完全に空間に浮いている。全くぶれてない。すごくハッキリと浮いている。
他のシステムで定位が出ているものを聴いたことはあるけれど、それとはステージの違う何かな気がする。方向だけではなくて、完全に奥行きもピタッと合っていて、実在感がすごい。
話を聞くと、理由はある程度わかる。小口径スピーカーのニアフィールドで直接音中心の構成。クロックと電源への徹底したこだわり。出川先生のSPMD。結果として位相情報の精度が高く、ノイズが極端に低く、レンジが広い。そういった要素が積み重なって、あの音が生まれているのだろうと頭では理解できる。でも、それだけでは説明しきれない何かが、あの音にはある気がしてならない。何度聴いても、言葉にしようとすると最後に余白が残る。
まだ自分には勉強が足りていない、本物の実装能力というか、凄みがある。
以前、自分のシステムでアンプの改造をして行き詰まっていたことがあった。あれこれ試して解決の糸口が見えなかったのを、岡本さんのところに持ち込んだらあっさり解決してしまった。知識と経験の蓄積が違う。
一度みんな行った方がいいと思う。結構くらうから。
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なんか、読んでてすごく楽しい文章。
「ここの音は異次元の音だ」が口癖の彼。
お若い方の言葉遣いもなかなかユニーク。
うちの作業部屋は狭いからニアフィールドにならざるを得ない。でもねニアフィールドで立体感の出ないシステムでは広いところで鳴らしたらもっと出ない。ここで鳴らしているss600Dspというアンプはホールで鳴らしてもあり余るくらいの立体感の出せるアンプ。それをこの部屋で聴くから一聴してヘッドホンで聴いているような感覚にもなる、のかな。
私はBGMとしていつも普通に聴いているんだけど、この音が初めての人には不思議な感じになるんだろうね。
いずれにしても三箇山様、貴重なご感想をありがとうございました。




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