X-DP10というDAC(その2)ワードシンクの効果2026-04-03

X-DP10というDAC(その2)・ワードシンクの効果


当店で現在マスターシステムとして使っているDACは、PCM1798を使った古いもので、受信素子であるCS8416とDACの間にサンプリングコンバータCS8421を置き、ここにMasterClockとして27MHzの外部クロックを入れることで音の改善をしている。これはその下流にあるDACをより正確なクロックで駆動するための工夫であり、それなりの改善がされていてウチの臨場感にも一役買っている。


だが、X-DP10の外部クロック入力はMasterClockではなく、ワードシンク用クロックである。先日44.1KHzを入れてCD品質データにワードシンクさせてみたのであるが、これの効果が思いのほか良かったのである。


調べてみると、ウチのDACの様にマスタークロックを高精度化させることは確かに音の改善にはなるのだが、デジタル処理の入口に高精度クロックを入れても内部処理の過程で徐々に誤差が加算されたクロックでDA変換が駆動されていることになるのに対し、ワードシンクであればデジタル処理の最終段(アナログデータにする直前)でデータの区切りを正確に切り取ってDACに渡す効果があるということがわかった。

デジタルデータというのはシリアルデータであり、左・右のチャンネルデータは1本のデータライン上を1サンプルごと交代で流れている。

ワードシンクはこの左右の区切りをより正しく分けてDACに流す効果があるということだ。そのためワードシンクさせた方がより定位がしっかりしたことで音がグンと前に出たのであろう。


対してマスタークロックでは先にも述べたようにチップ内部で徐々に加算されたジッタを伴ったデータが直列に流れてくるものだから、左右のデータに切り分けのズレが出て、そのタイミングでデータ欠損を生じるため全体的には改善されてもある程度のデータ欠損は避けられないものなのだ。


結局ワードシンクの効果が思いのほか高かったので、このDACがワードシンク出来る全ての周波数で外部クロックを入れてやろうと考えた。


造るべきクロック周波数は次の6 通り。

44.1系列 44.1KHz,88.2KHz,176.8KHz

48K系列 48KHz,96KHz,192KHz


これらの周波数を当店に在庫の部品を組み合わせて造ることにした。方針は次の通り。


1)ジッタの混入を極力減らしたいのでロジックで組む(DDSは使わない)。もちろん電源は出川式。

2)ノイズの発生はそのままジッタを悪化させるので各段で徹底的にノイズをカットする。ノイズカットのために使う素子はNIKKOHMの金属皮膜抵抗、コンデンサもメタライズポリフィルムか積層セラミックとする。

3)配線もできる限り稠密にまとめる。基本はサンハヤトの基盤一枚(電源は別)

4)最後に源クロックからのリクロックを入れてジッタをより改善する。

5)電源は高精度レギュレータを4個使い各系統を分けてそれぞれの干渉を予防する。

6)手持ちの発振器を調べたらそれぞれの系統に使えるのが次の通りであった。

 44.1KHz系 11.2896MHz (256倍)

   48KHz系     6.144MHz(128倍)

7)両系列の回路は共通とし、頭の発振器と1ビットの差をリレーとロータリースイッチで吸収する。これにより全ての周波数を1個のロータリースイッチで切り替えられるものとする。


以上で設計した図面は次の通り。

(この回路図は水魚堂さんのbsch3v.exe を使わせて頂きました)

マルチクロック回路図


で、1週間かけて作った発振器ユニットが次の写真。

 

Clock基盤


動作確認はできていて、全6種のクロック波形は次の画面。

クロック6種波形



みんな綺麗な矩形波になってる。

ただ、DAC本体と繋ぐ場合最後の調整があるかもとは思っているけど、多分動くと思う。


次は接続前に先にケースに入れることにする。





久しぶりのハイレゾの音2026-04-05

久しぶりのハイレゾの音


X-DP10にマルチワードクロックを繋ぐ前に、データテストとしてかつて海外でダウンロードしたハイレゾデータを久しぶりに聴いている。私が最後にドイツから帰国したのは2020年なのですでに6年以上が経過している。かつては『そんなに改善されるもんでもないかな』くらいの気持ちでいて、そういう気持ちもあってその後ずっと44.1KHzのCD品質データでばかり音を聴いていたのであるが・・・


久しぶりに聞いた96KHzや192KHzの音は明らかに静けさが違う。総じて音の伸びも臨場感も格段の差がある。これらのデータはかつてLinn  Audioのダウンロードで購入したもの。今は全部Qobusに変わった様だが、品質にはこもごもあるようで・・今は全く使っていない。


今日の感想は私の作業用デスクに置いているサブシステムで聴いている感想である。


◎サブシステムは次の構成

音源は全て2TBのHDDに入れてあり、そこからMacで読み出している


Mac Mini (M2 Pro 2023 Tahoe 26.3.1)+VLC(3.0.23)

=>USB_FixCurrent+CPM

=>SPC-AV(RCA cable)

=>SMSL SU-1(DAC tuned)

=>ss120(with エンハンス・オプション:)

=>SPC-AV( SP Cable

=>SPMD素子

=>NS-3Mx+Alpair5G(Speaker tuned)

ss120の電源はMNR1201-0604からとっている。

こうやってみると、かつては出川式電源だけで良しとしていたウチのサブシステム構成も、ここ数年で日々改善されてきたのがわかる。


DACの細密チューンやUSB周りの改善、デジタルアンプの導入とエンハンスの実装、ツィータとしてガラスコーンスピーカを追加してレンジを広げ、そしてSPMDという画期的な位相ノイズキャンセル素子などなど、どんどん静けさを増してリアリティを改善してきたということがよくわかった。


今のサブシステムで出来の良いハイレゾ録音を聴くと、作業机周りの空間が抜群の臨場感に包まれて聴き惚れてしまう。96KHzで聴くオリジナルのNewCinemaParadiseなど、涙が出てしまう。。。


少しでも音を良くしたい、これまでにない臨場感を得たいと考えておられる方なら是非お問合せください。当店の音質改善技術は全て実践確認しており公開もしています。


info@practsoundsystem.jp


MultiClock完成2026-04-08

MultiClock完成


ケースが届いて、X-DP10用マルチクロック発振ユニットが完成した。

常時ハイレゾを聴くわけではないけれど、とりあえず手持ちのハイレゾはそのままのサンプリングで聞ける。

うちのメイン・システムはMacBookProにBootCampでWindows11を入れてあり、ハイレゾデータもこれのSSDに入っている。

この上でTuneBrowserはライセンス取得して使っているが、再生の設定でWASAPI(exclusive)を指定するとWindowsのBIOS設定に関係なくデータ自体のサンプリング周波数で再生される。これにワードシンクさせるとやはり静けさと臨場感が上がる。

MultiCClockを載せたX-DP10


クロック出力は後ろ側で下のX-DP10と繋がってる。もちろんコネクタはBNC(50Ω)で、長さは20cmと最短。

X-DP10の取説には「75ΩBNCで繋げ」と書いてあるけど、背面についているコネクタ見たら50Ω品なんだよね。

背面コネクタ


クロックの周波数選択は前面真ん中にあるロータリーSWで、左から

44.1,  88.2,  176.4,  48,  96,  192Hz  と並んでいる。

流れてくるデータのサンプリング周波数はX-DP10のフロントパネルにLEDで表示されるので、それに合わせてマルチクロックのロータリーSWを回すとピタッと同期する。素早くロックするので気持ちいい。


どの曲をかけてもワード・シンクさせることができる、という保証は気持ちのいいものである(単なる自己満)


さて、クロック系の改善が終わったので、次はいよいよ電源の改造。デジタル系とアナログ系の両方を出川式にする。



X-DP10 アナログ回路のチューン途中試聴2026-04-11

X-DP10 チューニング途中試聴


デジタルボリュームのIV変換とバッファのオペアンプに細密チューンを加えて、アナログ回路全般の出川式電源への実装を終えた。

Analog電源出川式化

上の写真がアナログ回路への出川式電源の搭載。手持ちの部品を使い、空きエリアに設置。電流は1A未満なので配線は細くて大丈夫。手持ちの部品を使った。


デジタルボリュームのIVとバッファへの細密チューン

DIgitalVolumeBuffre細密チューン

IV用オペアンプにはOPA2604が使われていたが、これをMUSE02に交換してからその後ろのバッファ段を含めてオペアンプ3個にミニCPMを背負わせた。


まだLCMは入れていない。LCMは電源回路を一旦切らねばならないのでCPMに比べてはるかに作業難易度が高い。特に今回の様に薄型稠密構造をした筐体の場合は実装スペースを見つけて作り出すことを含めてかなりの困難を伴う。取り付け位置によってはトラブルを起こすこともこの作業でが多いので、とりあえずその前に一旦動作確認である。


その音だが。。

先日作ったクロックを入れて定位と臨場感は改善されていたが、それに加えて余韻が加わった。それがとってつけたような余韻ではなく自然でとても気持ちの良い余韻である。やはり、柔らかく暖かく音の環境に包まれるためには出川式電源は必須である。


試聴ではずっとダイアナ・クラールのライブラリをランダムに流しているんだが・・・ただ一つ困ったことが。。


私のダイアナ・クラールのライブラリィにはCD品質のほかに96KHz も含まれていて、その度にセレクタで同期周波数を指定してやらねばならないのは流石に面倒だ・・・


まぁBGM程度に流す時はBios経由にしておいて出力サンプリングレートを48Kか96KHzにでも固定しておけばいいだろうということでまずはこのままで良しとする。



X-DP10フルチューン完了2026-04-12

X-DP10フルチューン完了       2026-04-13追記


まず、アナログ回路へのLCM取り付けを確実に処理して完了させた。その後アナログ回路の残りの部分、つまりDACとのインターフェース回路に取り掛かった。内容は、DAC直後の信号レベル変換をやっている5532DDに細密チューンを入れて、その後ろにあるIV変換のOPA2134を私の好きなMUSE02に交換してから細密チューンを入れた。デジタル系にも出川式電源を入れて立ち上がりと密度を改善した。


デジタル電源出川式


ここで一旦試聴したが、余韻がますます深く豊かになり、抱擁される臨場感も高い。


一応このままでももう良いかな、とは思ったのだが、実はまだ最後にDAC周りの細密チューンが残っている。


DACチップ周りのどこにCPMとLCMを入れるか、相手は3.3V系のチップで極小の32ピンQFNパッケージの製品である。DACチップそのものは5mm角の大きさしかなく、虫眼鏡をつけての作業になる。まだ回路トレースは一部しかしていなかったので今日改めてトレースしてみた。ターゲットの回路はチップ上の[AVCC_R]と[AVCC_L] であり、左右chのアナログ回路電源(3.3V)である。それがちゃんと左右別に給電されていることから、やはり丁寧な造りのDACであることがわかる。安いDACは左右別給電になってないしもっと安いとデジタル給電も一緒だったりする。


[AVCC]の直近の給電バッファとしてのコンデンサはすぐにわかったのだが部品と配線が密集していてなかなか元電源を見つけられなかった。最終的に見つけたのは隣のアナログ回路基板に乗ってるオペアンプがバッファとなって供給しているということであった。

調査した結果は次の図の通り


デジタル回路分析


よって、ミニLCMはアナログ基板側の電源回路のパターンを切断してそこに入れた。CPMは直近のコンデンサにパラにつけるのが良いのだが、本当にこの基板は狭いしミニとは言えCPMは大きい。流れる電流も微少なのでコンデンサの反作用は少ないと見込んで今回は諦めた。これ以上攻めると壊しかねない。。


さて、DACチップアナログ給電へのLCM取り付けを終えて再組立を実施、今日何度目かの試聴をしている。その結果、やはりDACのアナログ給電が安定した効果は大きく、

音が落ち着いてすごく静かになって、その上輪郭がしっかり具体的になってリアリティ抜群。臨場感も最高。これは音を聞き始めたら止められない。X-DP10はデジタルボリュームを内蔵しているので、そのままss600Dに繋いで聞いているが惹かれすぎて中毒性の高い音だ。手前味噌だが。


この状態でしばらく聞いて、本当に満足する音なら我が家のマスターシステムに組み込んで、DACの代替わりだ。



<4月13日追記>

良い音で聞き惚れていたのだ。やはりオーディオは電源が全てだ、と心から思う。しかしそれで今一度昨日やった改善を考えてみたら、まだやることがあるような気がしてきた。


DACチップのアナログ回路の電源(AVCC)が隣のアナログ基板にあるオペアンプであることは書いたが、そのオペアンプはボルテージフォロワの構成になっているのでそのままDACチップのアナログ電源を安定化させる働きをしている。となると、ここに使われているJRC4560Dという遅いオペアンプでいいのだろうか、という懸念である。


X-DP10には音を決めるIV変換回路がDAC直後とデジタルボリューム直後の2箇所あり、そこにはMUSE02を奢ってあってそれなりに改善されているが、こと心臓部のDACチップのアナログ回路電源にこんな遅い素子で給電されていたら折角のDACの性能がスポイルされてはいないだろうか。いや、このままでも十分に良い音ではあるのだし、いつまでも聞き続けていたい音ではあるのだが、もしかしたらさらに良くなる可能性があるのではないかと・・そう思うとやって見たくなるのが良くも悪くも私の性分である。かつてSU-1の細密チューンもそうやってトライして見つけたものだ。


良い音で鳴ってくれていたDACを渋々ながら止めて再度分解。基板を外してJRC4560を外してCPMを背負わせた MUSE02を代わりに載せた。組み上げて電源を入れたら。。。


激変した。中高音域の音の粒立ちと定位がよりしっかりして音全体もさらにおちついて重厚感を増した。全体的に静かになった。暗闇の中に音がくっきり浮かび上がる感じ。全域の音密度が高くなり、ますます中毒性のある音になった。


SU-1の時も効いたが、やはりDACチップの電源をできる限り高レスポンスに改善してやることは大事だ。